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2023-10-17 経済

AI 研究のパイオニア、アンドリュー・ン氏が講演これからの 10 年は生成AI の時代になる

© Photo Credit:INSIDE/Sisley攝影

注目ポイント

米国スタンフォード大学工学部コンピューターサイエンス学科教授でAI研究のパイオニアとして知られるアンドリュー・ン(中国名:呉恩達)氏は、AI Fundのパートナーであり、DeepLearning.AI、Landing AIの創設者でもある。アンドリュー・ン氏は、台湾の投資会社台杉投資の招待に応じ「AI による未来への洞察」と題し、AI が人々の未来をどのように再形成するのかについて講演を行った。

過去10 年は機械学習、次の10 年は生成 AI になる

 アンドリュー・ン教授はまず生成AIの展望について話した。

「15年前の人工知能モデルは小規模で非効率的であり、多くのデータを与えたとしても、継続的に性能が向上するものではありませんでした。 しかしその後、AI 開発分野で、ニューラル ネットワーク(人間の脳内の神経細胞、ニューロンと、神経回路の構造を数学的に表す方法)が導入され、モデル自体を大きくすることで AI の効率を非常に効果的に向上させることが分かりました。その後のAIは、教師ありの機械学習とディープラーニングとを組み合わせて進化し、産業への応用が本格的に始まりました。最も広範に利用されているのはデジタル広告のタグ付けで、例えば現在のコンピュータは、1通の電子メールからAIが文面にどのようなキーワードが含まれているかを判断し、 タグに変換し、広告システムから適切なタグと広告コンテンツを見つけてユーザーにプロモーションします」、

「これからの10 年は生成 AI の時代になるでしょう。生成 AI の中核は、実際には教師ありの機械学習技術を使用して、どのようなテキストや画像を生成するべきかを予測します。 しかし、生成 AI はテキストや画像の生成、データの整理だけでなく、一種の開発ツールとしても無限の可能性を秘めています」

アンドリュー・ン教授は続けて、自身が整理したレストランレビューを例に挙げ、これまでは、教師あり学習を使用して一連の AI アプリケーションを作成する場合、データの収集と整理に 1か月かかり、更に1か月のトレーニング期間を経て、ようやく大まかな AI モデルが出来上がり、導入と最適化には更に 3か月かかることもあったと説明した。

「以前は、1つの商用 AI システムの構築と展開に、約 6 ~ 12か月かかりましたが、現在はクラウド上で生成 AI を使用することで非常に高速化されています。今ではプロンプト1セットを作成するのに、わずか数分から数時間でコードが生成され、数時間から長くても数日間でクラウドにデプロイ(システムが実際の環境で稼働出来るようにすること)できます」これにより、アプリケーション開発のハードルをより一層下げることが出来ました」

 

生成AIが生み出す生産価値は3年以内に2倍以上に

アンドリュー・ン教授によれば、生成 AI によって世界全体の市場で生み出される生産額は 3 年以内に2 倍以上に増加する見込みだが、もちろんその過程で、かつて脚光を浴びた AI アプリ「Lensa(AIアバター作成機能を持つ写真・動画編集アプリ)」のように、多くの失敗も有りうるという。昨年末頃まではアバターと並んで撮影した写真が人気だったが、今年になってあっという間に消えてしまった。これは、Lensa が他の AI が提供する API (Application Programming Interface)を利用しているためであり、そのビジネスモデルは脆弱で、独自の城を築けていないという。

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