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2023-10-13 政治・国際

JFKの甥出馬、24年大統領選の〝究極の選択〟を彩るか【樫山幸夫の一刀両断】

© REUTERS 米ペンシルベニア州で2024年大統領選に出馬の意向を表明したロバート・F・ケネディ・ジュニア=2023年10月9日

注目ポイント

「JFK」すなわちジョン・F・ケネディ元米大統領の甥、ロバート・ケネディ・ジュニア氏(69)が来年2024年の米大統領選に無所属で出馬することを表明した。当選はおぼつかないとみられているが、過去の選挙には無所属候補の得票が結果を左右したケースもあり、当初の〝泡沫〟という下馬評を覆す存在になる可能性がある。

高齢のバイデン、疑惑のトランプを両断

久々にケネディ・ファミリーが脚光をあびている。

ロバート・ケネディ・ジュニア氏が10月9日に出馬宣言、「2大政党のエスタブリッシュメントは国民を断崖絶壁に連れて行こうとしている」と民主、共和両党を非難し、気炎をあげた。

アメリカ各メディアの報道によると、ケネディ氏はフィラデルフィアでの集会で「われわれは落胆と憤激を見てきた。私の目的は両党の動きを止めることだ」と出馬理由を説明。「国民の75%はバイデン氏が次の4年間、国を効果的に統治するには高齢すぎるとみている」と現職をやり玉にあげ、返す刀で「トランプ氏は刑事、民事で裁判を抱えている」と攻撃。

「彼らはそれを無視した支持を受けている。2大政党がわれわれに残したことはそれだ」と両党との決別を宣言した。

氏は当初、民主党の指名獲得をめざしていたが、バイデン大統領との討論会開催が拒否されたことなどから、無所属での出馬に踏み切った。

© TNS/ABACA via Reuters Connect

無所属での出馬を表明したロバート・ケネディ・ジュニア氏=2023年10月12日・マイアミ

 

両陣営、反撃とノーコメント

ケネディ氏に対して共和党の指名が濃厚になっているトランプ前大統領陣営は反発と警戒を強め、「有権者は保守の価値観を持つふりをしている候補者にだまされてはいけない」(報道担当者)などと反撃。共和党全国委員会は、「過激な民主党員RFKJr」というパンフレットで、ケネディ氏が過去いかにリベラルな政策、政治家を支持してきたかなどをあげつらって攻撃している。

バイデン陣営はコメントを避けているが、AP通信によると、ケネディ氏の兄弟姉妹の4氏は共同でコメントを発表。「ロバートの出馬は国にとって危険なことだ。彼は父の姓を名乗ってはいるが、価値観やビジョン、判断は全く異なる」と身内ゆえの辛らつな批判を展開している。

 

ワクチン陰謀論など民主党では異端

ケネディ・ジュニア氏の父は故ロバート・R・ケネディ氏。実兄であるジョン・F・ケネディ大統領の政権で司法長官、その後上院議員を務めた。

© DPA / Picture Alliance via Reute

ドイツ連邦共和国(旧西ドイツ)のウィリー・ブラント連邦副首相兼外相(右)と会談した際のロバート・フランシス・ケネディ米上院議員=1967年2月2日、ドイツ・ボン

ケネディ・ジュニア氏自身は環境問題を得意とする弁護士で、23年4月に民主党の予備選参戦に名乗りを上げた。

しかし、新型コロナウィルス感染防止のためのマスク着用に反対、ワクチン接種を、ナチスドイツによる人体実験に例えて排撃したことがある。そうした主張は民主党内では異端であり、現職バイデン大統領と争って指名を獲得するのは不可能とみられていた。

 

トランプ票をより多く奪うとの予測も

2024年11月の大統領選本選挙が再びバイデン、トランプ氏の争いになった場合、ケネディ氏の出馬によって、いずれの陣営に有利、不利な影響がもたらされるかについては、さまざまな見方がなされている。

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