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2023-10-13 政治・国際

紛争急拡大で米国の対北朝鮮抑止力低下を韓国が警戒 ハマスのイスラエル攻撃

© REUTERS イスラエル空爆後のガザ西部=2023年10月10日

注目ポイント

パレスチナ暫定自治区のガザ地区を実効支配するイスラム過激派組織ハマスが突如、イスラエルに対して開始した前例のない攻撃を受け、韓国政府は中東で拡大する危機が及ぼす自国への影響に警戒を強めている。米国営放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)が伝えた。

7日に始まったイスラエルに対するハマスの攻撃は、過去50年で最大の犠牲者を出し、全面戦争に拡大する懸念が高まっている。イスラエル軍はハマスによる陸・空・海の奇襲攻撃に対抗して総攻撃を開始するとし、30万人の予備役を動員。パレスチナ自治区ガザの保健当局は12日、ハマスとイスラエル軍の戦闘によるパレスチナ側の死者は1417人になったと発表。イスラエル側と合わせて死者は計2700人以上となったと発表した。

中東紛争の急速な拡大により、韓国では米国が中東に優先順位を移すことで、北朝鮮に対する抑止力が低下する懸念が一気に高まっている。韓国大統領府によると、チョ・テヨン国家安全保障問題担当補佐官は状況説明を受けながら、ハマスとイスラエルの紛争が韓国の安全保障をおびやかす可能性を検証しているという。

ソウルのシンクタンク「韓国統一研究院」のチョ・ハンボム上級研究員は、パレスチナとイスラエルの紛争が長期化すれば、米国はこの地域に相当な軍事力を配備し、その結果、米国が北朝鮮への優先順位を下げることもあり得ると指摘。

米超党派のシンクタンク「スティムソンセンター」のロバート・マニング上級研究員も、中東で米国の多大な支援を必要とする「軍事的緊急事態」が生じた場合、米国の抑止力が影響を受けることも予想できると述べた。

「米国の空母打撃群と、イスラエルへの緊急軍事援助が浮き彫りにしているように、中東と欧州での出来事は、アジア・中国が国家安全保障戦略に明記されているように最優先事項であり課題でありつつも、緊張を生み出す方向に米国を引っ張りつつある」とマニング氏は分析。

同氏が言及した欧州の出来事とは、米国の関与を無期限に増大したロシアによるウクライナ戦争を指す。また、空母打撃群については、オースティン米国防長官が8日、空母や誘導ミサイル駆逐艦を含むジェラルド・R・フォード空母打撃群に東地中海への移動を命じたことを示している。

一方、先週就任したばかりの韓国の申源湜(シン・ウォンシク)国防部長官は9日に南北国境近くの陸軍第1歩兵師団を訪問し、北朝鮮に対する軍の一層の備えを指示した。

申氏はハマスによるイスラエル攻撃について、「韓国はそれよりはるかに強い脅威に直面している」と指摘し、「これに対応するために、われわれが偵察監視資産で(北朝鮮軍の動向を)注視しなければならない」と強調。イスラエルが監視・偵察用の飛行などをしていれば、今回のような攻撃は受けなかったとの見解を示した。

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