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台湾初の国産気象衛星「トリトン」(猟風者)が台湾時間9日午前、フランス領ギアナから打ち上げられた。

(台北、新竹中央社)台湾初の国産気象衛星「トリトン」(猟風者)が台湾時間9日午前、フランス領ギアナから打ち上げられた。国家宇宙センター(国家太空中心、TASA)によれば、同10時31分に予定軌道に進入した。発射の約11時間20分後にトリトンは初めて台湾を通過し、台湾の地上の通信局と交信する。
トリトンの国産比率はミッション機器を含めて約82%。地上施設も含めると、台湾の20以上の研究機関やメーカーが研究や製造に参加した。当初は7日午前に打ち上げが行われる予定だったが、観測データの数値が上限値をわずかに超えたため、直前で急きょ中止していた。
トリトンは9日午前9時36分、仏アリアンスペースの小型ロケット「ベガロケット」に搭載されて打ち上げられた。打ち上げの模様は、TASAのユーチューブで生配信された。
トリトンの打ち上げまでの道のりは、プロジェクトの変更や新型コロナウイルス流行の影響もあり、容易なものではなかった。TASAの呉宗信主任(長官)はトリトンの軌道進入後、「最高の酒はかめの底に沈んでいるものだ」と笑い、苦労の末に実りが得られたことを喜んだ。また、打ち上げ成功によって台湾が独自開発した重要な部品は「本当に飛んだ」ことになるとし、台湾のメーカーが世界における航空宇宙産業のサプライチェーン(供給網)の一部となれるよう支援していく方針を示した。
(張璦/編集:名切千絵)