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2023-10-06 政治・国際

英紙「中国の原潜が沈没、乗員55人犠牲か」中国政府が報道を真っ向から否定するワケ

© 黃海

注目ポイント

英紙デイリー・メールは今週、中国の原子力潜水艦が8月、中国と台湾を隔てる黄海を潜航中に接触事故を起こし、酸素を供給するシステムが故障して沈没、中国人乗員55人全員が死亡したとみられると伝えた。中国政府は報道を否定しているが、もし事実なら、そこには中国当局が原因を公表できない理由があった。

デイリー・メール紙は独自に入手した英国の機密報告書を引用し、中国海軍の潜水艦「093-417」が酸素供給システムの壊滅的な故障を起こして乗組員は全員死亡し、その中には艦長のほか、士官21人も含まれているとみられると報じた。

同紙は中国政府が報道を全面否定し、他国に援助要請もしなかったと付け加えた。機密報告書から判断すると、中国側が事故を明かせない理由は、同潜水艦が英米など西側の潜水艦をとらえるために仕掛けたトラップに自らかかり、システムエラーが発生したことにより、酸素供給システムが致命的な誤作動を起こしてしまったからだという。

メール紙が入手した機密報告書には以下のように記されていた。

「英情報当局は8月21日、黄海で任務を遂行中、艦内で事故が起きたと報告した。事故は現地時間8月12日に発生し、乗員55名(士官22名、士官候補生7名、下士官9名、船員17名)全員が死亡。船長の薛永鵬大佐も含まれていた」

また「われわれの理解では、潜水艦のシステム障害による低酸素症が原因で死亡したと考えられる。当該の潜水艦は、中国海軍が米国とその同盟国の潜水艦を罠にはめるために敷設していたチェーンとアンカーなどの障害物に接触。その結果、システム障害が発生し、艦の修復と浮上に6時間を要した。船内の酸素システムは致命的な不具合を起こし、乗組員に低酸素症を引き起こした」とも。

同紙によると、沈没したとされる同潜水艦に関する情報はまだ公式に確認されていない。中国政府は事故の憶測を「完全に虚偽」と否定し、台湾も今のところインターネット情報を否定している。

メール紙は報告書に含まれる詳細について英海軍に問い合わせたが、コメントは得られなかった。同報告書は国防情報に基づき、機密扱いとされている。

匿名を条件に同紙の取材に応じた英海軍の潜水艦隊員は、「原子力潜水艦がトラップにかかり、艦内のバッテリーが放電されたとすれば、空気清浄器や空気処理システムも故障したのかもしれない」と指摘。「空気を維持することに失敗し、これは窒息や中毒につながったのだろう」と推測した。

また、「英海軍はこのような状況で二酸化炭素を吸収して酸素を生成するキットを保有しているが、ほかの国ではこのような種類の技術を持っていない可能性が高い」と述べた。

8月22日、海軍専門メディア「Naval News」の潜水艦専門家H.I.サットン氏はソーシャルメディアで「中国海軍の093型上級原子力潜水艦が台湾海峡付近で深刻な事故に遭遇したという報道がある」と発信。ただ、「この報道は未確認だ」とし、「注意深く扱わなければならない」と続けた。

中国の「093」型潜水艦は15年前に就役。艦艇の全長は約107メートル。魚雷を装備している。中国のより近代的な潜水艦の一つであり、エンジン音が低いことで知られる。

沈没にいたる事故は中国・山東省沖の黄海で起きたとみられる。

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