注目ポイント
現在、台湾には米国の 16 の地方政府が事務所を開設している。 9月19日バージニア州も正式に台湾事務所を開設し、ネットワークセキュリティ、防衛・航空宇宙、EV(電気自動車)、半導体の4大分野に重点を置き、台湾企業と交流を行うことを発表した。
同時に、バージニア半導体技術連盟(VAST)が、半導体ファウンドリ大手TSMC(台湾積体電路製造)と特別な協力体制を取り、半導体技術の人材育成を目指すことが決まった。TSMCはすでに同連盟に加盟している。
メリック商務長官は「バージニア州はアメリカの民主主義発祥の地であり、台湾と民主主義的価値観を共有しています。バージニア州はドイツ、韓国、日本に次ぐ4番目の海外事業所として台湾を選びました。これ以上ない最適な選択だと考えています」と語った。
また、台湾とバージニア州は類似した産業改革の背景を持っており、どちらも農業から発展して、現在では強力なテクノロジーとイノベーションの中心地に変貌したと指摘し、台湾は半導体産業で世界をリードするのみならず、エレクトロニクス、自動車、重工業、海運などの分野でも優れたパフォーマンスを発揮していると賞賛した。

© Photo Credit: 關鍵評論網 Abby Huang 撮影
メリック商務長官は、バージニア州は強力な防衛・航空宇宙産業を有し、ボーイング、レイセオン、ノースロップ・グラマン、ゼネラル・ダイナミクスなど、米国の防衛・航空宇宙企業トップ5社のうち4社の本社がバージニア州あることを強調した。主要企業のデータセンターも多く、Amazon の本社 HQ2 は、バージニア州の州都アーリントン、クリスタルシティにある。
米国各州が台湾の半導体を求める中、バージニア州の優位は?
近年、米国各州がTSMCをはじめとする台湾の半導体企業と積極的に協力を進めているが、バージニア州の優位な点について記者から質問があった。メリック商務長官は「バージニア州には、TSMCの取引先であるマイクロン・テクノロジを含む数十の優れた半導体サプライヤーがあり、防衛および航空宇宙分野の産業拠点となっているとともに、多くの企業、例えばノースロップ・グラマンなどが自社で半導体を製造しています。バージニア州の技術、人材は評価に値するものです」、「台湾の半導体企業からバージニア州への投資を誘致するために、バージニア半導体技術同盟(VAST)を設立しました。州政府、連邦政府、高等教育機関のリソースを結集して台湾企業をパートナーとして誘致します。TSMCもすでに加盟しています」と述べ、人材育成がVASTの大きな焦点であり、バージニア州はより多くの半導体技術人材を育成するため、資金と研修プログラムを提供する用意があると約束した。
近年、米国の多くの州の高官が相次いで台湾を訪れている。台湾の美国州政府協会(ASOA)厳樹芬会長は、ニュースレンズの取材に対し、現在までにバージニア州を含む米国の15の州と1準州が台湾に事務所を設立していると説明した上で、台湾には120万社以上の中小企業からなる緊密なサプライチェーンが有り、TSMCなどの大企業がそのリーダーとなっていると述べた。
台湾は、米国からの海外直接投資の伸びが世界で4番目に速い国である。 2022年には、バージニア州から台湾への輸出額が7億3000万ドル(約1088億円)、台湾からの輸入額は10億ドル(約149億円)に達している。 バージニア州台湾事務所は、両国関係を緊密にし、台湾企業のバージニア州進出を支援し、バージニア州に新たな投資と雇用の機会をもたらすとともに、コンピュータ、電子製品、機械、更には大豆や紡織品など、バージニア等の輸出についても市場開拓を進めるという。