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2023-09-29 政治・国際

頼清徳氏優勢も各党スキャンダルの影響未知数 台湾・総統選まで3カ月余【近藤伸二の一筆入魂】

© REUTERS 記者会見に出席した、民進党の総統候補頼清徳氏=2023年7月5日、台北

注目ポイント

2024年1月13日投開票の台湾・総統選まであと3カ月余り。有力3候補がしのぎを削る中、EMS(電子機器の受託製造サービス)世界最大手・鴻海精密工業創業者の郭台銘氏が無所属での出馬を表明したことで、選挙情勢は複雑さを増してきた。世論調査では与党・民主進歩党(民進党)の頼清徳副総統が頭一つ抜けるが、ここへ来て各党でスキャンダルが発覚し、各陣営は防戦に追われている。郭氏は最大野党・中国国民党(国民党)の侯友宜・新北市長と第三勢力・台湾民衆党(民衆党)の柯文哲・前台北市長に野党勢力の結集を呼びかけており、実現の可否が最大の焦点となっている。

各世論調査では頼氏優勢

台湾のケーブルテレビ大手TVBSが9月22日から26日にかけて行った世論調査によると、支持率は頼氏が34%で先頭を走り、柯氏(22%)、侯氏(21%)を10ポイント以上引き離している。郭氏は9%と伸び悩む。現地紙『聯合報』が9月27日に発表した世論調査結果でも、頼氏30%、柯氏21%、侯氏20%と、頼氏がリードしている。

頼氏は8月中旬、蔡英文総統の特使として南米パラグアイを訪れ、ペニャ新大統領の就任式に参列。その行き帰りに、米ニューヨークとサンフランシスコに立ち寄ったが、米議員や政府高官らとの接触については有無を含めて公表せず、アピールを控えた。

侯氏も9月中旬に訪米し、首都ワシントンで講演したり、下院議員と面会したりして、未経験分野である外交で存在感を示そうとした。だが、TVBSの世論調査によると、侯氏の訪米成果に「満足」と答えたのは23%に過ぎず、「不満足」の22%とほぼ同数で、外遊で思うようにポイントを稼ぐことはできなかった。

© EYEPRESS via Reuters Connect

集会で演説する国民党の総統候補侯友宜氏=2023年7月5日、台北

 

新竹市長不祥事は柯氏、郭氏に影響も

各陣営とも攻めの材料に乏しい選挙戦が繰り広げられる中、8月以降、各党がからむ不祥事が相次いで表面化した。

8月14日には、民衆党の高虹安・新竹市長が、前職の立法委員(国会議員)時代に支払われた秘書経費46万台湾ドル(約210万円)を詐取して私的に流用したとして、台北地検に起訴された。

高氏は2022年11月の統一地方選で当選した民衆党唯一の首長で、県市長としては史上最年少の38歳で新竹市長に就任した。台湾大学で情報工学修士号、米シンシナティ大学で機械工学博士号を取得した若手有望株の女性政治家だけに、同党が受けたダメージは大きかった。

2023年「新竹市青少年の市民参加と市民育成プロジェクト」に出席した高虹安氏=2023年9月20日、高虹安氏のFacebookより

民衆党主席である柯氏は今のところ、「高氏について指摘されている案件10件のうち8件はでっち上げだ」(台湾『中央通信』9月27日)などと、高氏を擁護する姿勢を貫いている。だが、民衆党が掲げてきた「クリーン政党」のイメージが傷ついたとの見方も強まっており、柯氏の足を引っ張りかねない。

また、高氏は鴻海出身で、郭氏の支援を受けていることでも知られる。

郭氏は現在、無所属で出馬するのに必要な有権者約29万人分の署名集めを進めているが、高氏のスキャンダルで、郭氏も守勢に回らざるを得ない状況だ。

© EYEPRESS via Reuters Connect

選挙関連イベントで演説する民衆党の総統候補柯文哲氏=2023年9月16日、台北

 

頼氏の足元で与党も手痛い失点

一方、頼陣営にも逆風が吹いている。

蔡政権は、台湾で深刻化してきた鶏卵不足の対策として、3月になってブラジルなどから卵の輸入を始めた。だが、輸入卵の中に消費期限が誤表記されていたものがあったことが判明し、これまでに5000万個以上を廃棄処分にした。

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