注目ポイント
台南在住の料理家でライターの遊佐水亜さんが、旬の食材を使った台湾料理のレシピと料理にぴったりなお酒を紹介する月イチ連載。今月はほくほくとしたれんこんの食感が楽しい「れんこんと鶏手羽先の薬膳スープ」。滋味深いスープとおいしいお酒で心もからだも満たして、季節の変わり目を乗り切ってきましょう!
今月のおいしい季節食材「れんこん」
日本だけでなく台湾でもこの時期になると、市場やスーパーマーケットに旬のれんこんが出まわります。台湾で「蓮藕(リエンオウ)」と呼ばれるれんこんは、調理法によって異なる食感を楽しめる、秋冬には欠かせない根菜類のひとつです。
日本ではきんぴらや煮物にして味わうことが多いですが、台湾ではスープの具材にしてお肉や漢方食材とともに煮込むのが一般的。また家庭料理では、サラダ風の冷たい和えもの、肉詰めを揚げ焼きしたものなどもポピュラーです。
中医学の世界では、身体にこもった熱を冷まして肺のはたらきを高める作用があるといわれ、加熱することで、胃腸をととのえて食欲不振を改善するといったプラスの効果も期待できます。

今月のおつまみ「れんこんと鶏手羽先の薬膳スープ」
今月は「れんこんと鶏手羽先の薬膳スープ」のレシピをご紹介します。干しなつめやハスの実といった漢方食材と香味野菜を加えてじっくり煮込んだ、飲むほどに味わい深いスープが主役。ほくほくとしたれんこんの食感もたまりません。
材料とつくり方
【材料(2〜3人分)】
れんこん 200g
鶏手羽先 300g
干しなつめ 50g
ハスの実(乾燥) 20g
ねぎ 1本
にんにく 3かけ
酒 適量
塩 少々
水 適量
白こしょう 少々
【つくり方】
1. れんこんは皮をむき、7〜8mmの厚さにカットして水につけておく。鶏手羽先は酒と塩を少量ずつ加えた熱湯でさっとゆでこぼす。干しなつめは水につけて戻す。ハスの実は熱湯で5分ほど塩ゆでして水分を切る。

2. 大きめの鍋にれんこん、鶏手羽先、干しなつめ、ハスの実、ざく切りにしたねぎ、皮をむいたにんにくを加えて、酒をふりかける。材料が8割つかるくらいの水を注いで、中火で温める。
3. スープがふつふつと沸いてきたら弱火にしてフタをし、30分ほど煮込む。具材すべてに火が通るように、時おりやさしくかき混ぜる。煮詰まりそうなときは水を少し加えてもOK。

4. 仕上げに塩と白こしょうを加えて、味をととのえたらできあがり。

おつまみに合うお酒&ひとことメモ
食材それぞれの旨みがとけ込んだクリアなスープには、上品ですっきりとした味わいの白ワインを合わせるのがおすすめ。たとえばミネラル感と果実味たっぷり、スパイシーなニュアンスのあるフランス・ローヌ地方のヴィオニエ種主体のタイプとも相性がよさそうです。
漢方食材は、干しなつめやハスの実のほかに、クコの実、はとむぎ、白きくらげを入れても本格的でおいしいスープに仕上がります。鶏肉は骨つきの部位のほうがコクが出ますが、もも肉や胸肉を使う場合はチキンスープの素や醤油を少量加えてみてくださいね。