開票日カウントダウン

選挙ページへ

2023-09-27 政治・国際

中国「国家安全を危険にさらした」罪で新彊大ウイグル人学者に終身刑 密室裁判で

© SLCforSAR ラヒレ・ダウット氏

注目ポイント

ウイグル族の文化や伝統の研究で世界的に著名なウイグル人学者に、中国の裁判所は「国家の安全を危険にさらした罪」で終身刑を言い渡していたことが分かった。中国の人権問題に関する裁判を注視する米人権団体が明らかにした。

AP通信によると、米サンフランシスコに本拠を置く人権団体「中米対話基金」は先週、新彊大学のウイグル人学者ラヒレ・ダウット教授が密室裁判で2018年12月、「国家安全を危険にさらした罪」で有罪判決を受けていたと発表した。ダウット氏は控訴したが棄却されたという。

「ラヒレ・ダウット教授に対する終身刑の判決は残酷な悲劇であり、ウイグル族と学問の自由を重視する全ての人たちにとって大きな損失」と同基金のジョン・カム氏事務局長は声明でそう述べた。

ダウット氏は新疆大学の少数民族民俗研究センターの創設者。2017年後半、中国北西部・新疆ウイグル自治区出身のテュルク系イスラム教徒が大多数を占めるウイグル族に対する中国政府の弾圧のさなか、消息不明となっていた。

中国当局はダウット氏の居場所や罪状の内容を公表しなかったため、これまで同氏についての正確な状況は不明だった。ところが今月、同基金がダウット氏に終身刑判決が言い渡されたことを示す中国政府の公文書を閲覧したことで状況が一変した。

中国外務省の毛寧報道官は22日の定例記者会見で、ダウット氏の件について質問され、「情報はない」とした上で、中国は「法律に従って事件を処理する」と付け加えた。

ダウット氏は、新疆ウイグル自治区および中央アジアのイスラム教の聖地やウイグル族文化の研究で国際的に知られ、多くの論文や書籍を執筆。英ケンブリッジ大学や米ペンシルベニア大学など海外で客員研究員として講義を行ってきた。

人権活動家らによると、同氏のほかにも新疆ウイグル自治区では400人以上の著名な学者や作家、表現者、芸術家らが拘束され、中国当局は知識人や影響力のある人物を標的にすることで、ウイグルの文化や言語、アイデンティティを希薄化することを狙っているという。

台湾の最高学術研究機関「中央研究院」の研究者で、かつてダウット氏の通訳を務めたこともあるジョシュア・フリーマン氏は、「ウイグル族の著名な知識人のほとんどが逮捕された」と指摘。逮捕理由はダウット氏の仕事に関係したものではなく、「彼女がウイグル人として生まれたこと」だと語った。

ダウット氏は反政府活動に関与しておらず、終身刑判決の知らせはフリーマン氏をはじめ、ウイグル研究の学者たちに衝撃を与えた。しかもダウット氏は中国共産党員で、逮捕前には中国文化省から補助金を与えられていたという。

ダウット氏の娘アケダ・プラティさんは判決を聞いて愕然とし、中国当局に母親の解放を求めたと述べた。

⎯  続きを読む  ⎯

あわせて読みたい