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台湾の人気歌手で俳優のアーロン(炎亜綸)に性加害疑惑が浮上、訴訟の可能性も有り、台湾芸能界に波紋が広がっている。台湾の「児童・少年性的搾取防止条例」の関連規定によると、児童・少年の私的な性的画像を作成した場合、刑罰は最も軽いもので1年以上、最高で10年以上の懲役を科される可能性が有る。また18 歳未満の児童・少年の私的な性的画像の配布と販売に対しては、追加の罰則が科される。
台湾でも「#MeToo運動(セクハラや性的暴行などの性犯罪被害を告発する運動)」がドラマ「wave makers~選挙の人々~」をきっかけに広がっている。
そんな中、日本のNHKで制作された台湾新幹線建設プロジェクトを描いたドラマ「路〜台湾エクスプレス〜」にもヒロインの相手役として出演した、人気歌手で俳優のアーロンが、2018年に当時交際中だった有名インフルエンサーのヤオ・ルゥ(耀楽)に、性行為を強要した上、隠し撮りしたビデオを流出させたとして告発された。ヤオ・ルゥは高校生の頃からTikTokなどに動画を投稿してブレイクし、現在も多数のフォロワーを持つ有名インフルエンサー。
ヤオ・ルゥは当時未成年、アーロンは児童・少年性的搾取防止条例違反か
ヤオ・ルゥは今年6月、自身のInstagram投稿で、アーロンを相手どって訴訟を起こすかどうか弁護士と協議中であることを明かし「未成年者のプライベートなビデオを撮影することは違法だ」と述べた。 メディア報道によると、ヤオ・ルゥの母親も直接警察署に赴き、事情を説明したという。これにより台北士林地方検察庁は捜査を開始、ヤオ・ルゥの母親は訴訟を起こす意思を示し「私たちは金銭ではなく、アーロンが法的責任を取ることを望んでいる。彼のしたことを決して許さない」と主張した。
ヤオ・ルゥは6月21日に記者会見を開催したが、記者会見の席にアーロンが突然現れ、その場で頭を下げて謝罪した。会場を出たアーロンは、号泣しながら記者の質問に答え「あれは双方の合意で行ったことであり、相手が望まない行為は一切行っていない」と強調した。
ヤオ・ルゥも感情を昂ぶらせ、一旦会場から出て行ったが、戻ってきた後に、アーロンから初めて性行為を強要されたのは2018年だったと告白した。当時、アーロンはドラマ撮影の仕事があり、毎朝早起きして身支度をしていたが、その日も早起きしたアーロンは、突然ヤオ・ルゥの布団をめくり性行為に及んだという。アーロンが「双方の合意の上だった」と述べたことに対し、ヤオ・ルゥは「強制的ではなかったという発言はナンセンスだ。すべては実際に起こったことだ」と反論した。
台湾の法律では、満16歳以上の男女には性的自主権があり、他人と性行為を行うかどうかは自分で決めることができる。ヤオ・ルゥは当時16歳で、アーロンと合意の上で性行為を行ったのであれば法的に問題はない。しかし、ヤオ・ルゥは、自らの意思に反してアーロンから性行為を強要されたと主張しており、この場合は刑法に定める性的自由を侵害したことになり、懲役3年から10年の罪に相当する。ヤオ・ルゥは当時未成年だったため、法律に従って更に2 分の 1の刑事責任が加重され、最高刑の懲役 15 年が科される可能性もあるという。