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2023-09-25 経済

中国に「最高30億人分」の新築空き物件 富裕層が海外投機買い不動産も売却へ

© REUTERS 建設が中断された新築マンション=2023年9月12日、陝西省銅川市

注目ポイント

全人口14億人をもってしても中国各地に散らばる空きマンションを埋めることはできないと中国国家統計局の元高官が暴露した。混迷極める中国の不動産危機は国内に留まることなく、中国人富裕層が投機目的で購入した東南アジアなどの海外物件も資金不足で売却を迫られている。

21世紀の中国にとって経済の支柱だった不動産セクターは2021年、不動産大手・中国恒大集団の経営破綻以降、瀬戸際に立たされている。恒大集団に加えて、不動産最大手・碧桂園(カントリー・ガーデン・ホールディングス)など大手デベロッパーも債務危機に陥り、市場は急速に減退している。

中国国家統計局(NBS)の最新データによると、8月末時点で売れ残った住宅の床面積の合計は6億4800万平米に達し、ロイター通信によると、平均住宅面積の90平米から換算すると、その数字は720万戸に相当する。

ところが、すでに販売されたものの資金繰り困難で未完成のものや、中国全土の膨大な数の空き物件の大部分を占める2016年のマンションブームで投機買いされたものは、その720万戸には含まれていないと専門家は指摘する。

NBSの元副局長ハー・ケン氏(81)は先週末、中国南部・東莞(とうかん)で開催されたフォーラムで、「いったい空き物件が現在何戸あるのか。専門家はそれぞれ全く異なった数字をあげているが、最も極端なものでは30億人分と推測するものもある」と明かした。

国営メディア・中国新聞社が公開した映像ではハー氏が、「その推計は少し多いかもしれないが、14億人分以上はある」と断言していた。経済の重要なセクターに対する公式の場での元高官による否定的見方は、「中国経済は回復力がある」とする政府の主張に相違し、異例だ。

中国外務省の報道官は最近の記者会見で、「中国経済の崩壊を予測するような様々なコメントが時折浮上しているが、崩壊しているのはそのようなレトリックであって、中国経済ではない」と反発した。

一方、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは24日、中国がコロナ禍前の不動産バブル期に、中国人富裕層が東南アジアなどで投機対象として購入したマンションなどの不動産が売りに出され、買い手探しが始まっていると伝えた。

かつて不動産は安易で安定した収入を約束し、利殖ブームの中で、東南アジア、特にタイの小規模アパートやマンションへの投機は、手頃な価格と地理的な近さから2010年代後半、中国の中産階級にとって人気の選択肢だった。

ところが、コロナ禍後の経済活動再開の回復が不安定ななか、国内の不動産危機が長期化し家計収入の伸びも鈍化、一部の企業は財政状況の悪化に苦しみ、海外投資を縮小せざるを得なくなっていると同紙は伝えた。

200世帯を超える中産階級の顧客の代理人を努める広東省の不動産仲介業者スティーブン・ヤオ氏は同紙に、「賃貸収益と為替レートの変動を考慮すると、海外不動産投資のほとんどは人民元ベースで利益をもたらしている」と説明。

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