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2023-09-22 経済

話題の中国製EV ミュンヘン「IAAモビリティ2023」でドイツメーカーの応戦は?

© Photo Credit:INSIDE/Chris攝影

注目ポイント

ドイツのミュンヘンで開催された「IAAモビリティ2023」(旧通称:フランクフルト国際モーターショー)において、中国製EV(電気自動車)が話題となり「中国速度(中国の進化、深化の速さや方向性を表す言葉)」というキーワードが知られるところとなった。 ドイツ市場における中国車のシェアはまだ少ないものの、着実に増加しており、ドイツの自動車メーカー、消費者双方が動向を注目している。

 「当社は売上世界一のEVメーカーです」 中国の自動車メーカーBYD(比亜迪)のプレゼンテーターは、IAA モビリティ2023で堂々と名乗り、テスラのEV「Model 3」と競合する自社EV「SEAL(シール)」を発表した。欧州各国において44,900ユーロ(約710万円)で正式に発売される。BYDを始めとする中国メーカーの出展数は昨年の2倍となった。

 

「中国速度」(中国スピード)が注目のキーワードに

今回のIAAモビリティで注目を集めたキーワードが「中国速度」(中国スピード)だ。 ドイツ市場における中国車のシェアはまだ少ないものの、着実に増加している。ドイツの公的な統計によると、ドイツにおける中国製EV(中国国外の工場で生産された車両を含む)の市場シェアは昨年7.8%だったが、2023年第1四半期までに28%にまで急増した。

一方、ドイツの自動車メーカーは昨年、中国で440万台の自動車を販売したが、その内EVはわずか20万台だった。 欧州市場に話を戻すと、中国製EVの販売は2023年の最初の7カ月間で約55%も急増して82万台に達し、自動車販売全体の約13%を占めた。そして、中国は今年初めに日本を抜いて世界最大の自動車輸出国となった。

© Photo Credit: INSIDE/Chris攝影

中国自動車メーカーの優位性は、最も基本的な粗利率にも反映されている。BYD4-6月の財務報告書によると、売上高は178億ドル(約2兆6219億円)、前年比67%増で2022年以来一番低い成長率となったが、粗利率は13.51%から18.33%へと上昇し、テスラと並ぶまでになった。上半期の自動車関連の粗利率は20.67%に達しており、これらの実績を踏まえ、中国メーカーが自信を持ってIAAに最先端EVを登場させた理由といえるだろう。

 

1980年代の日本の自動車メーカーを彷彿とさせる

 メルセデス・ベンツのオラ・ケレニウスCEO(最高経営責任者)は「中国の自動車メーカーの海外進出の勢いは、1980~1990年代の日本、そしてその後の韓国の状況に似ている」、「中国ではXiaomi(シャオミ)のようなテクノロジー企業が、来年にもEV市場への参入を準備しているのは事実だ。しかし、これは通常の世界市場の動きだといえる」と述べた。

また、ケレニウスCEOは、メルセデス・ベンツの自社モデルは、依然としてブランド、デザイン、豪華な質感そして安全性に重点を置いているが、それに加え、吉利(ジーリー)との合弁事業を立ち上げ、中国でSmartブランドの自動車を発売することになったのは、双方にとって有益な戦略であると説明した。

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