注目ポイント
INSIDE はドイツのミュンヘンで開催された「IAAモビリティ2023」(旧通称:フランクフルト国際モーターショー)において、メルセデス・ベンツ・グループのマーカス・シェーファーCTO(Markus Schäfer、最高技術責任者)に独占取材を行い、メルセデス・ベンツが独自OSを開発する理由を始め、ドイツの自動車産業が半導体とどう関わっていくのについて話を聞いた。
メルセデス・ベンツはIAAモビリティ2023において、次世代フル電動EV(電気自動車)向けプラットフォーム「MMA(メルセデス・ベンツ・モジュラー・アーキテクチャ)」を搭載したコンセプトモデルEVを公開し、2025年には100%自社開発の車載OS「MB.OS」採用のMMAを搭載したEVを市場に投入すると発表した。
今回は、メルセデス・ベンツ グループのマーカス・シェーファーCTO(最高技術責任者)に独占取材を行い、メルセデス・ベンツが独自OSを開発する理由を始め、ドイツの自動車産業が半導体とどう関わっていくのかについて話を聞いた。
メルセデス・ベンツはなぜソフトウェアとハードウェアの統合や、車載OSの開発にこだわるのでしょうか?
メルセデス・ベンツは、従来から自社の能力により完全な車載システムを構築すべく努力を続けている自動車メーカーです。第一の目標として2024年にはMMAを搭載したEVを発売し、2025年に正式に市場投入を目指しています。第二の目標は、車載エンターテイメントシステム、高解像度スクリーン、高性能高負荷チップ等により、ユーザーに印象深い体験を提供することです。
もちろん、その大部分は半導体の実用化にかかっています。メルセデス・ベンツは現在、米国と欧州の両方で自動運転レベル3の法的認証を取得している世界で唯一の自動車メーカーです。これに基づいて、最高水準の ADAS (先進運転支援システム)開発を推進しています。 次世代EV向けプラットフォーム MMA は、ADAS においてNVIDIA と協力し、ソフトウェアを共同開発します。 メルセデス・ベンツは法規のみならず、ソフトウェアとハードウェアについても熟知しており、これら2つの部分を組み合わせることで ADAS において優れたパフォーマンスを発揮出来ると考えています。
OSの開発は確かに一大プロジェクトですが、自動車のソフトウェアと携帯電話のソフトウェアでは基本層と中間層が異なります。基本層と中間層はAUTOSARの多数のオープンソース利用により開発されていますが、アプリケーションの点では携帯電と同様に、市販のストリーミングビデオを簡単にインストールできるだけでなく、市販の人気アプリもインストールできます。例えば韓国の車両ではKakao MAP、中国の車両では高徳地図(中国国内に特化した地図アプリ)が搭載されています。