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2023-09-20 政治・国際

「中国人を侮辱した」と根拠のない猛批判 アップルが掲載した1枚の写真が中国で炎上 

© REUTERS

注目ポイント

アップル社が企業紹介の一環としてウェブサイトに掲載した1枚の写真が、中国のネット上で炎上している。問題になったのは同社スタッフの顔写真で、その髪型に反発した微博(ウェイボー)ユーザーらが、なんの根拠もなく「中国人を侮辱している」などと怒りを爆発させた。

米オンラインニュース「インサイダー」によると、アップル社がカスタマーサービス部門に勤務するアップルウォッチ担当者の写真を同社サイトに掲載したところ、17日時点でこの写真に対する批判が微博(ウェイボー)で急速に拡散。これを問題視したポストの閲覧回数は1億8000万回に達し、注目ワードのトップに浮上した。

写真で紹介されたスタッフは、長い髪を1本の三つ編みにしており、微博ユーザーらは辮髪(べんぱつ)に似ているとして、「中国人に対する西側の固定観念を植え付けるため、この髪型のスタッフを意図的に取り上げた」という根拠のない主張でアップル社を非難。20世紀初頭に英作家サックス・ローマーが創作した悪役「フー・マンチュー」のイメージと重なると主張している。

© アップル社

フー・マンチューは、「西欧支配の世界を破壊することをもくろみ、陰謀をめぐらす悪人」との設定で、辮髪に垂れた長く細いひげ、吊り目をした架空の中国人。戦前から多くの映画に登場し、1980年には英俳優ピーター・セラーズがフー・マンチューを演じた映画「天才悪魔フー・マンチュー」でも知られる。中国国営メディアはこれまでも、フー・マンチューの容姿が「深刻な人種差別」だと非難してきた。

インサイダーによると、あるブロガーは「アップル社の人たちはあまりにも愚かで、意図的に中国を貶めたり、辮髪の中国人悪役を描いたハリウッド映画を見たりして、それが中国人のイメージだと思い込んでいるからなのか、それは分からない」と書いた。

上海のメディア会社ペア・ビデオは、問題の写真を見た中国人ネットユーザーが不快に感じたかどうかを調査したところ、19日時点で、少なくとも12万3000人が「はい」と答え、5万8000人が「写真に何の問題もない」と回答した。

ネット上の怒りの多くは、この写真がアップル社の中国向けサイトにのみ掲載されているという誤解から生じているとインサイダーは推測。中国共産党系のタブロイド紙・環球時報は、指摘されたスタッフが勤務するのは中国ではなく、米カリフォルニア州だとし、中国国営放送CGTNの米国特派員も、このスタッフは中国人ではなくアメリカ先住民だと結論付けた。

それでも、微博では批判者を擁護する者もいる。あるブロガーは、「中国人の反応に大きな問題があるとは思わない」とした上で、「アップルはおそらく中国を侮辱するつもりはなかったが、中国人のタブーに対し無神経だっただけだ」とつづった。

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