注目ポイント
インドネシア政府は今年7月、BRICSに加盟するかどうかを議論したが、インドネシア外相と財務相がともに反対したことが分かっている。 同大臣らは、インドと中国の国境紛争などBRICS加盟国間の連帯が欠けていること、ロシアのウクライナ侵攻後にロシアと並ぶ組織に参加するのは負担が大きいこと、インドネシアが特定の政治ブロックに同調していると見られることなどを主張した。
ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカで構成されるBRICSは先月、2024年1月1日からBRICS5カ国を「BRICS11」とし、アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の6カ国が参加すると発表したが、意外なことに東南アジア最大の経済大国インドネシアは参加していない。
インドネシアはBRICSに招待された新メンバーの一つだったが、インドネシア政府は土壇場で参加を辞退した。4月4日付のジャカルタ・ポスト紙に掲載されたインドネシアのシンクタンク、テンガラ戦略研究所(Tenggara Strategics)の記事は、インドネシアが今回BRICSに加盟しなかった理由を分析している。
分析では、インドネシアは世界第16位の経済大国であり、BRICSに加盟する資格は十分にあること、インドネシアとBRICS諸国は、より公正な世界経済秩序の確立や米ドルへの過度な依存からの脱却など、多くの共通目標を掲げていることを指摘している。
記事によれば、インドネシア政府は今年7月にBRICSへの加盟を検討したが、ルトノ・マルスディ外相とスリ・ムルヤニ財務相はともに反対したという。
記事に引用された情報筋の話によると、大臣たちはインドと中国の国境紛争などBRICS加盟国間の連帯感の欠如や、ロシアのウクライナ侵攻後にロシアと並ぶ組織に参加することが「重荷」と感じており、インドネシアが特定の政治ブロックと連携していると受け取られ、同国が強調する「リベラルで積極的」な外交政策とも矛盾する可能性があるとの認識を示した。経済的な要因もまた辞退を考慮した理由とされる。インドネシア大統領に近い情報筋は、インドネシアの人口が多いため、BRICSはインドネシアの加盟で恩恵を受けるだろうが、インドネシアにはそれほどメリットがないだろうとインタビューで答えている。
記事によれば、欧米諸国を中心とした38の富裕国からなる経済協力開発機構(OECD)に加盟することがインドネシアにとって最も得策であり、実現すればインドネシアは、日本、韓国に次いでアジアで3番目の加盟国となる。
BRICSは、今もインドネシアにとって重要なパートナー
国際関係学者のアユ・アナスタシャ・ラフマン氏は、豪ニュースメディア『The Conversation』で、インドネシアが「当面の間」BRICSに参加しないことは正しい選択だが、BRICSはインドネシアにとって、依然として非常に重要な存在であると指摘した。