2023-09-30 ライフ

大切なのはバランス感覚に積極性 台湾で中国語を上達させるために必要なこと

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注目ポイント

外国人として台湾で暮らしている人間にとって、最大のストレスは「言語」だろう。言いたいことを伝えられなかったり、相手の説明がいくら丁寧でも聞き取れなかったりと、中国語がわからなければ生活は困難だ。とはいえ、台湾には日本語が通じる店や日本語が話せる台湾人が多く、日本語話者からすると中国語が全く話せなくても何とかなってしまうのも事実。そんな台湾で語学力を向上させるための秘策とは。

筆者も台湾に移住した当初は、本当に簡単な中国語しか話せなかった。しかし、言葉がわからなければ花屋は務まらない。隙間時間を見つけては独学で勉強した。

いろんな語学学校へ体験に行き、YouTubeで中国語のドラマやアニメを毎日見て勉強していたものの、大抵の会話を理解し、全て中国語でLINEや電話の対応ができるようになるまでには丸1年かかった。留学生のように集中して勉強できる時間があれば、上達はもっと早かったかもしれない。ただ、働きながら独学でも語学力を向上させられた理由のひとつは、日本人コミュニティとの距離の取り方にあったと思う。

 

台湾で暮らす日本人としてのバランス感覚

筆者の周りには5年、10年は当たり前、30年暮らしていても中国語は全然ダメという日本人がいる。台湾で暮らしているのに中国語が上達しない人に共通しているのは、プライベートも仕事も交友関係が日本人や日本語が話せる台湾人に限られていることだ。

中国語の会話が大きなストレスになっているのか、どうしても日本人コミュニティから抜け出せない。語学留学の日本人もたくさん見てきたが、中国語が上達しないまま帰国してしまう人の多くも、日本人とばかり遊んでいたように思える。

駐在員は駐在員で、ある程度の役職がある人なら身の回りのことはスタッフがすべて手配してくれて、中国語を使う機会がそもそも少ない。家族もいわゆる“駐在妻”のコミュニティ、子どもは日本人学校のコミュニティがあるから、家族全員が常に日本語だけで生活しているというケースも珍しくないだろう。

ただ、だからといって「中国語上達のためには日本人コミュニティに属さない方がいい」と言いたいわけではない。困ったときに頼りになるのは日本人コミュニティという場合もあるし、日本人同士の方がビジネスが円滑に進むこともある。実際、筆者も台湾で長く暮らしている先輩方からアドバイスを多くいただいている。

要は大切なのはバランス感覚なのだが、台湾社会に溶け込みつつ、日本人とも適度な距離を取りながら生活することは、簡単なようでいてなかなか難しい。それは筆者も実感している。

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台湾人のやさしさも上達の助けになる

知り合いやコネが全くない状態で台湾に来た私は、最初の1年間はとにかく台湾人と会話することに徹した。朝は市場の老闆(店主)たち、行きつけのコンビニでは顔を覚えてくれた店員さんにどんどん話しかけた。街中で道を聞き、知らない店にも進んで入ってみたりと、会話の機会を自分で作り出していた。

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