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先週ロシアを訪問した金正恩朝鮮労働党総書記は、プーチン露大統領との首脳会談のほか、ショイグ国防相とも「実務的な問題で建設的な意見」を交わし、ロシア艦隊を視察した。ロシアは正恩氏を国賓待遇で歓迎し、両国は互いに蜜月関係をアピール。ところが、これに心中穏やかではないのが中国だ。その理由とは―。
同紙は、おそらく中国の歴史のどの時代よりも、中国が世界のリーダーシップのより大きなシェアを獲得しようとしているため、北朝鮮とロシアに対する中国の対応は重要だと指摘する。 中国は過去40年にわたる前例のない経済発展を遂げ、その規模と軍事力により、これからの世界秩序を擁護するのは、これまで唯一の絶対的超大国だった米国ではなく、中国は自国がそれに取って替わる正当性があると確信しているという。
父子2代のブッシュ政権とオバマ政権で国家安全保障会議の中国担当局長を務めたポール・ヘンル氏は、中国にとって、それぞれが領土的野心を抱く西側と対立する中露朝3か国の枢軸を強固にするという外面的な姿勢は、それぞれの利益を損なうと同紙に語った。そもそも、そのような動きは中国が繰り返す〝ブロック政治〟への批判に矛盾し、米国の同盟国が米国とより緊密に連携し、対中制限強化のリスクを高めることになるからだと説明した。
同氏は、「中国は米国に対する戦略的影響力のために北朝鮮を近づけた」と指摘。北朝鮮への中国の影響力は低下することになり、正恩氏がコロナ禍後初の外遊先として中国ではなくロシアを選んだのは、それを象徴しているという。中国はまた、北朝鮮の核兵器計画を強化することになるロシアによるさらなる技術支援も警戒している。
ジョージタウン大学の政府・国際問題教授でワシントンのシンクタンク「戦略国際問題センター」のビクター・D・チャ氏は、「中国の戦略的目標は主に安定を維持すること。中国は問題解決には興味がない」と説明。「北朝鮮の気まぐれな行動は中国政府を苛立たせるかもしれないが、金政権が存続する限り容認され、在韓米軍への緩衝材として機能している」とした上で、「中国は統一を支持しておらず、韓国で問題が起こることも望んでいない」と述べた。
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