注目ポイント
2023年9月14日から開催された『日本・台湾スタートアップサミット』にあわせて、総勢40社以上の台湾スタートアップが来日した。日本市場への販路拡大や日本からの資金調達ならびに企業との協働を探る。
AI関連の台湾ベンチャー「Gogolooks」「iKala」「Ubestream」
渋谷区の実証実験に採用された、世界に広がる詐欺電話防止アプリWhoscall
Gogolooksは「リスクマネージメント・アズ・ア・サービス」をコンセプトに掲げるAI企業だ。同社のアプリ「Whoscall」は、電話による特殊詐欺やテキストによるフィッシング詐欺を防ぐべく、データベースを活用し、誰からの架電か、それが信頼できる送信先かをユーザーに伝える。2020年に福岡市の社会課題解決を目指す実証実験に採択され、現在は東京都渋谷区の実証実験にも参加中だ。
同社の日本事業責任を務めるロー・ウェイチェン氏は、詐欺被害について次のように述べる。
「日本では毎年特殊詐欺による被害が相次いでいます。特に2022年の被害額は370億円を超えました。つまり1日単位でも1億円です。それぐらいの巨額が失われています」
また、Whoscallは特殊詐欺だでけはなく、福島原発のALPS処理水に絡んだ海外からのいたずら電話に対しても効果を発揮したという。
詐欺電話やSMSを介したフィッシング詐欺は、日本のみならず国際的な問題でもある。ウェイチェン氏によれば、、Whoscallのダウンロード件数は全世界で一億件を数え、同社のデータベースには、世界の警察や自治体と特殊詐欺のデータベースを共有し、26億件のデータが登録されているという。

AIが海外のインフルエンサーを推薦する越境EC支援
iKALAはマーテック(マーケティング・テクノロジー)企業であり、AIを駆使したサービスを提供している。すでに今年8月に日本のマクアケに対して、同社のインフルエンサー・マーケティング支援を行なったことを発表。「KOL Radar」というプラットフォームを使って、日本企業の台湾進出を実施。
AIにより、商品訴求にもっとも合致するインフルエンサー=KOL(キー・オピニオン・リーダーの略)とそれに相応しいユーザー・チャネルを選定し、大きな効果を上げたという。
「日本企業が東南アジアに目を向けているいまがチャンス」と話すのは、同社日本法人のカントリー・マネージャー・土屋隆司氏だ。
「弊社がお手伝いするのは、アジアにおけるインフルエンサーのキャスティングから投稿の制作、投稿の管理と投稿後のレポーティングまでのワンストップ・サービスになります」(土屋氏)
たとえば、同じコスメ系のインフルエンサーでも、オーガニックな商品にこだわるのか、もっと色で魅せるメイクにこだわっているのかでも違う。そのような差異も含めて、訴求したい商品によって、もっともユーザーと強い繋がりをもつインフルエンサーを推薦できるという。