2023-09-13 ライフ

侍ジャパン悲願の初優勝 第31回U18ワールドカップin台湾

注目ポイント

8月31日から台湾(台北、台中)で18歳以下の高校生たちによる世界野球大会が始まりました。日本は1982年の第2回大会から参加していますが、優勝したことはありませんでした。馬淵監督の掲げる「スモールベースボール」が功を奏し、強豪台湾、アメリカ、韓国などを破り、初めて世界の頂点に立ちました。筆者は、台北天母球場に何回か足を運び、日本の若き侍たちを応援し、優勝決定の瞬間に立ち会えました。選手がペットボトルの水をかけあい、監督・コーチを胴上げし、日本の高校生が喜びを爆発させたシーンは初めて見ました。今回はU18ワールドカップの観戦記をお送りします。

侍ジャパン、激闘を制して初優勝

1982年第2回大会で日本は決勝戦に進出しましたが、強豪アメリカに敗れてしまいました。去年の大会まで日本は4回、決勝までコマを進めましたが、アメリカとキューバに2度ずつ敗れ、一度も優勝したことがありませんでした。U18ワールドカップで優勝することは日本の悲願だったのです。

日本の高校野球と違って、U18では金属バットは使用禁止、試合は7イニング制、投手の投球数制限など、慣れないルールで戦わなければならなかった日本の高校球児たちは、明徳義塾の馬淵監督の指揮の下、「スモールベースボール」を貫きました。大量得点を狙うのではなく、先制点を奪うために、四球を選び、盗塁、バント、エンドラン、スクイズで揺さぶりました。実際、9月5日にオランダに完封負けを喫した試合と、10日の台湾との決勝戦を除いて全9試合中7試合で先制点を取っています。

9月10日、日曜日、台湾との決勝戦です。この試合、日本は先制点を取られましたが、1点を追う4回表、3番緒方(横浜)が四球、4番武田(山形中央)がバントで送り、丸田(慶応)がピッチャーゴロを全力疾走、一塁にヘッドスライディングしてセーフ、1死一三塁から6番高中(聖光学院)が3塁線に絶妙のスクイズを決めて同点、意表を突かれた投手孫易磊(スンイーレイ)がしりもちをつきながら一塁に送球しましたが、悪送球になり、一塁走者の丸太も一気に生還し逆転に成功しました。これぞスモールベースボールの真骨頂です。ちなみに今大会で156キロの剛速球を投げて注目された孫易磊は台北市の文化大学1年生ですが、大会期間中はまだ18歳でしたから参加資格に問題はありません。

続々押し掛ける野球ファン=2023年9月10日

 

31回目を迎えたU18ワールドカップ

1981年にアメリカで第1回大会が開催されてから1997年までは毎年、1999年からは隔年、8月中旬から下旬にかけて開催されるU18ワールドカップは、世界中から予選を勝ち抜いた18歳以下の選手で構成する12チームが、6チームずつ二つの組に分かれ総当たりの「オープニングラウンド」を行います。各組上位3チームが「スーパーラウンド」で対戦し、最終日に3位決定戦と決勝戦が行われます。

この時期、日本では夏の甲子園の真っ最中ですから、高校生の参加は非常に難しく、甲子園出場校の選手を含む日本選抜チームとして参加したのは開催が9月に変更になった2004年からです。そして「侍ジャパン」のユニフォームを着用するようになったのは2013年の第26回大会からです。

⎯  続きを読む  ⎯

あわせて読みたい