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国防部(国防省)は12日、最新の「国防報告書」を発表した。軍事的戦略構想である「防衛固守、多重抑止」を堅持した上で、防衛力を強化し、民間防衛体制の構築と社会の強靭化(きょうじんか)を図る方針を示した。

(台北中央社)国防部(国防省)は12日、最新の「国防報告書」を発表した。軍事的戦略構想である「防衛固守、多重抑止」を堅持した上で、防衛力を強化し、民間防衛体制の構築と社会の強靭化(きょうじんか)を図る方針を示した。
同報告書は2年に1度発表しており、ロシアのウクライナ侵攻や中国による台湾周辺での大規模軍事演習後初めての発表となった。
中国の台湾に対する「グレーゾーン作戦」の脅威と認知戦に重点が置かれた前回と比べ、今回は既存内容の充実が図られた他、日米豪など同盟国による中国への対抗措置や中国の台湾に対する軍事的脅威の拡大などに関する記述が加えられた。
近年予備役制度の改革を進めていることや来年1月から兵役期間が現行の4カ月から1年に延長されることの詳細も明記。主戦、守備、民間防衛各部隊による「全民国防体系」の説明にもページが割かれた。
邱国正(きゅうこくせい)国防部長(国防相)は序文で「戦いに備えることで、戦いを避けることができ、戦えるからこそ、戦いを止められる」と強調。過去2年間、中国はグレーゾーン作戦で台湾海峡の現状を変えようとしたと指摘し、軍事的圧力による嫌がらせは「新たな常態」になっているとした。
また中国による台湾侵略作戦の脆弱点に対し、包括的で信頼できる戦力を構築すると意欲を示した。
今年の報告書は初めてポッドキャストやスポティファイなどのオーディオブックでも聴取可能となった。また「防空識別圏(ADIZ)」や「台湾海峡中間線」などの用語を分かりやすい言葉で解説するコーナーも新たに設けられた。