2023-09-13 政治・国際

中国がAI駆使し米国分裂工作 マイクロソフト社調査報告で浮上 大統領選前に

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マイクロソフト社の報告書によると、2024年の米大統領選挙に先立ち、中国は米国の有権者の分裂を狙い、人工知能(AI)を駆使して視覚的に魅力的な〝バズる〟コンテンツを作成していることが分かった。

中国は2024年の米大統領選挙に向けて米国内に不和の種をまいて社会の分裂を煽るため、人工知能(AI)に目を向けていることがマイクロソフト社の報告書で明らかになった。米国営放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)が伝えた。

マイクロソフトの脅威分析センターは先週、ブログ投稿で中国政府がこれまでのような影響を植え付ける方法ではなく、ネット上でバズることを狙った〝目を引くコンテンツ〟を生成できる新たなAIを開発していると警告した。

この6か月にわたる取り組みの中で中国は、視覚的に魅力的なイメージを作り出し、時間の経過とともにイメージを改善できるAIジェネレーターと呼ばれる技術を使用しているという。

同報告書は、「中国と関係のある人物らが、AIジェネレーターを駆使した視聴覚メディアを使い、銃規制問題や、政治的人物や米国社会を象徴するとされるものなどを侮辱するなどして、国民を二分するようなトピックに焦点を当てた工作活動を繰り広げている」と指摘した。

「中国は今後も時間をかけてこの技術を開発し続けるだろうが、いつ、どのように大規模に導入するかはまだ分からない」と報告書は警戒感を示した。

一方、駐米中国大使館の劉鵬宇報道官は今回の報道について、「近年、一部西側メディアやシンクタンクは、中国が人工知能を利用して偽のSNSアカウントを作り、いわゆる〝親中〟情報を広めていると非難している」と反論。その上で、「こういった主張は中国に対する偏見と悪意のある憶測に満ちており、中国は断固として反対する」とVOAの取材にメールで返答した。

マイクロソフトによると、中国の工作員らが、政治的に中立な米国の有権者に成りすまし、AIが生成したイメージをSNSで拡散していると指摘。その焦点は人種、経済、イデオロギーに関連する問題だという。

具体的にはこんなケースも―。米国の象徴の一つであるニューヨークの自由の女神像が、片手に通常のトーチを持ち、もう一方には機関銃のようなものを手にした姿の功名な画像に作り変えられ拡散された。画像は「暴力の女神」というタイトルが付けられ、「民主主義と自由が捨て去られようとしている」との警告文が添えられていた。

専門家らは、像の片方は5本以上の指があったことなどから、画像はAIを使って生成されたものとみている。

報告書はまた、「この比較的高品質のビジュアルコンテンツは、すでに本物のSNSユーザーたちを高レベルで巻き込んでいる」と分析。「AIを使った生成だと知りながらも、ユーザーはこれらのビジュアルをかなりの頻度で再投稿している」と付け加えた。

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