2023-09-12 政治・国際

秦剛外相解任や将軍2人粛清に続き異変  習近平指導部今度は国防相が動静不明 

© REUTERS アジア安全保障会議"Shangri La Dialogue"に参加した李尚福国防相

注目ポイント

中国の李尚福(り・しょうふく)国防相の動静が2週間伝えられず、不正で調べられているのではないかなどと臆測を呼んでいる。中国では動静が途絶えた秦剛前外相が7月に解任され、汚職疑惑が浮上した軍幹部らが交代したばかり。異変続きの習近平指導部に何が起きているのか。

米ブルームバーグ・ニュースは11日、米国のエマニュエル駐日大使が中国の李尚福(り・しょうふく)国防相の動静が2週間伝えられず不明になっているとし、異変が続く3期目の習近平指導部を皮肉った。

エマニュエル氏はX(旧ツイッター)への投稿で、異変が続く3期目の習近平指導部を皮肉った。エマニュエル氏は8日、秦氏や軍幹部の〝失踪〟に続き、今度は李国防相が「2週間にわたり公の場に姿を見せていない」とXに投稿。「習政権の閣僚らはアガサ・クリスティの小説『そして誰もいなくなった』の登場人物のようになっている」と書き込んだ。

李氏は昨年10月の共産党大会を経て中央軍事委員会委員(上将)に昇格し、3月の全国人民代表大会(全人代)で国防相に就任。6月にはシンガポールでアジア安全保障会議に出席。8月29日に北京で開かれた「第3回中国アフリカ平和安全フォーラム」で演説したことを国防省が同日発表したのを最後に動静が途絶えた。

中国人民解放軍をめぐっては今年初め、習氏は国の核兵器を管理する秘密ロケット軍を率いる将軍2人を説明もなしに突然粛清している。

中国外務省の毛寧副報道局長は11日、北京での定例会見でエマニュエル大使の投稿について問われ、「状況は把握していない」と述べた。

李氏は8月中旬、ロシアとベラルーシを訪問し、モスクワでの安全保障会議では中露の軍事関係を「協力モデル」と呼んでいた。頻繁に公の場に姿を現す外相とは異なり、中国の国防相は通常、あまり公の場に登場しない。それでも、すでに2週間も消息が伝えられないことは異例だという。

米ブルームバーグによると、中国軍は7月、2017年10月に遡ってハードウェア調達をめぐる汚職の捜査に着手したが、その日付がなぜ重要なのかについての説明はなかった。というのも、李氏は17年9月から22年まで軍の設備部門で責任者を務めていたからだ。

これまでのところ不正行為が疑われた形跡はないという。ただ、調査は、習主席による10年近くにも及ぶ人民解放軍の腐敗一掃への取り組みがまだ完了していないことを示すものだとブルームバーグは指摘する。

そんな習氏は先週末、東北部の陸軍部隊を視察した際、軍上層部の混乱のなか、軍の団結と安定を呼び掛けたと中国国営新華社通信が伝えた。視察には中国軍最高機関・中国中央軍事委員会の張友霞副主席が同行していた。

新華社によると、習氏は「我々は軍隊の教育と管理の厳格化を実施し、高度な団結、安全、安定を維持しなければならない」とし、戦闘準備レベルを向上させる必要性も強調した。

⎯  続きを読む  ⎯

あわせて読みたい