2023-09-08 経済

経済減速の中国、もう米国を追い越せない?米メディア「50年までに成長率は1%に」

© GettyImages 上海証券取引所

注目ポイント

中国はもはや世界最大の経済大国・米国を追い越せないのか―。米ブルームバーグ・エコノミクス(BE)は、中国の国内総生産(GDP)が米国を超えるには2040年代半ばまでかかると予想しているが、実際に達成される確率は低いと分析した。

中国・上海外国為替市場の人民元相場は7日、対ドルで下落し、通常取引の終値(日本時間午後5時半)が、前日比0.27%安の1ドル=7.3279元となった。2007年12月以来、約15年9か月ぶりの安値をつけた。

中国税関総署が同日発表した貿易統計で、8月の輸出は前年同月比8.8%減の2848億7000万ドル(約42兆円)となった。マイナスは4か月連続で、下落率は7月から縮小したものの、外需の弱含みが続き苦戦した。市場関係者によると、中国経済の先行き不透明感が強まる中で、外需の弱さが鮮明となり、元を売る動きが加速した。

米ブルームバーグ・エコノミスク(BE)によると、景気拡大が続いていた中国はコロナ禍が始まる前まで、早ければ30年代初頭には中国が米国を抜いてGDP世界1位になると予想されていた。

ところが、BEは今週の報告書で、「中国は予想よりも早く、緩やかな成長軌道にシフトしつつある」と分析。「これはコロナ禍後の景気回復が勢いを失い、深刻な不動産不況と中国政府の経済運営への信頼低下を反映している」とし、「自信喪失は固定化するリスクがあり、その結果、成長が永続的に阻害されることになる」と記した。

エコノミストらは現在、中国経済の成長率が30年には3.5%、50年までには1%近くに減速するとみている。これは従来の予測であるそれぞれ4.3%と1.6%を下回っている。

昨年、中国経済は3%上昇したものの、コロナ対策と財産危機により、ここ数十年で最も低い成長率となった。それでも経済活動が全面的に再開されたことで、今年は景気が回復するという期待がもたらされた。

だが、輸出の落ち込みと不動産不況の深刻化により、回復は勢いを失っている。輸入も7.3%減の2165億1000万ドルで、6か月連続のマイナス。中国で不動産不況が深刻化しており、内需も力強さを欠いている。輸出入を合わせた総額は8.2%減だった。そのため多くのエコノミストも24年の成長予測は5%をさらに下回る水準になるとみている。

中国はまた、より深刻で長期的な課題にも直面している。昨年、1960年代以来初めて人口減少を記録し、生産性の低下に対する懸念が高まっている。米国や他の西側諸国との地政学的な緊張と同様、規制当局による改正・反スパイ法や国家安全法を盾にした取り締まりも同国に対する警戒感を強めている。

対照的に、米国は多くのエコノミストが数か月前に予想していたよりも良い状況にあるようだ。力強い労働市場、堅調な個人消費、緩やかなインフレにより、当面は景気後退を回避できるとの自信が高まっている。米ゴールドマン・サックスは現在、米国が景気後退に陥る確率は15%とみており、これまでの20%から改善した。

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