2023-09-08 経済

台湾GUS Tech 設立からわずか 8 年でリチウム電池ソフトパックが国際舞台へ

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注目ポイント

GUS Tech(GUS Technology格斯科技股)は8 年前に設立された、チタン酸リチウム二次電池、高ニッケル電池ソフトパック等の電池セル技術を研究、開発する台湾企業。設立からわずか 8 年で海外メーカーから注目されるようになった要因を探る。

Q: ソフトパック電池が従来の電池よりもEVに適している理由について、技術的な面から説明していただけますか?

A: 現在も電池の形は円筒型や角型が主流ですが、今後、自動車メーカーにおいてソフトパックの利用が増加することは確実と考えられます。ソフトパックと円筒型や角型の電池パックの最大の違いは製造工程にあり、ソフトパックはシュリンクチューブでカバーされており、内部抵抗が従来のリチウム電池より小さいのが最大の特徴です。 従来型の電池は躯体が金属で内部抵抗が高いため発熱しやすいのですが、ソフトパック電池は比較的大きな電流を用いた場合でも、温度が保たれます。これが技術的な理由といえるでしょう。

ソフトパックがEVに適している理由の第2は政策です。ドイツを中心とする欧州のEV市場は、VDA (ドイツ自動車工業会)規格の電池を推進しており、電池の容積を、規格化、標準化したいと考えています。標準化により、業界全体で電池のコストが削減されれば、EVの更なる普及が期待されます。そしてソフトパック電池の利点は様々な VDA規格のサイズ要件に簡単に適応できることです。

Q: 現在、貴社の主力製品となっているチタン酸リチウム二次電池、高ニッケル電池に加えて、将来の市場戦略の中心になる電池技術は何でしょうか?

A: この問題については、長期的には 10 年、中期的には 3 ~ 5 年で考える必要があります。長期的に見ると、全固体電池(電解液がなく正極と負極の間に電解質セパレーター層のみがある電池)の研究開発に力を入れるメーカーが増えており、当然、当社も全固体電池の研究を進めています。しかし現実的には、普及まで相当の時間を要すると思われます。

3年から5年という中期的に見れば、既存の材料技術のブレークスルーとなるでしょう。 以前は高ニッケル電池唯一の難点が安全性の問題とされていましたが、電解液やセパレーターの改良を進め、来年の実用化を検討しています。チタン酸リチウム電池は第2世代、第3世代の製品を開発しており、第3世代となる安全性の高いLTO(チタン酸リチウム電池)も開発されています。 きっと今年中には発表する機会があるでしょう。


 訳:椙田雅美

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