注目ポイント
今秋発売されるGoogleの次世代AIモデル「Gemini」は、マルチモーダル技術が大幅に進歩し、トレーニングデータの量はOpenAIのGPT-4の2倍になるという。 生成 AIの世界勢力図はどう変化するのだろうか?
OpenAIが開発した「 ChatGPT (Generative Pre-trained Transformer)」は2022年11月の公開以降、現在に至るまで突出した市場シェアを獲得しているが、他社の生成 AI 技術やサービスも進歩を続けており競争が激化している。Google の新AIモデルGeminiはChatGPT の優位を脅かす競合相手になると見られている。
ChatGPTを凌駕?Googleが新AIモデル「Gemini」を今秋発売
Googleが今秋、新しいAIモデル「Gemini」を発売することが明らかになった。Google によると、Geminiは これまで独立していたGoogle Brain と DeepMind のリソースを統合し、より強力で包括的に進化した大規模言語モデル「LLM」 である。 Google の共同創業者であるセルゲイ・ブリン氏も開発プロセスに参加している。
Geminiはテキスト、画像、オーディオ様々な形式で入力された情報を処理し、出力する。生成AIであり、論理的推論と相互理解を促進する言語翻訳能力に優れている。Gemini の登場は ChatGPT にとって重大な脅威であり、OpenAI にとって大きなプレッシャーとなるだろう。
Geminiは生成AI競争の場で Google の強みを最大限に発揮するといえる。Google は優れた研究開発スタッフ、独自の膨大なデータ リソースを有しており、データの質、量ともに競合他社を上回る。
Gemini 最大の利点、Google の膨大なデータを使用
Google には独自の膨大なデータがある。YouTubeの動画、Google テキスト、検索インデックスに加え、Google Scholar(学術用途の検索を対象としたサービス)には科学、医学、テクノロジーの学術研究資料が蓄積されており、Google固有のこれらのデータが、LLM モデルのトレーニングデータのソースとなる。Google は Gemini に基づいた新しい AI チャットボットサービスの開始や、 Bard チャットボットサービスの Gemini モデルへのアップグレードを予定している。
Gemini の登場は、GoogleのクラウドサービスGCPにも影響を与えると予測されている。3大クラウドサービスの一つであるGCPを通じて、Gemini の機能が企業に提供され、新たなビジネスチャンスを生む。また、Google ドキュメントやGoogleスライド等、企業の生産性に関わるアプリに、グラフの分析、音声によるソフトウェアコントロール等の機能も提供していくという。