注目ポイント
アルゼンチン大統領予備選で得票数トップに立ったハビエル・ミレイ候補は、米「ブルームバーグ」のインタビューに応じ、自身が政権を取ったら共産党と協定を結んだり、関係発展を促したりすることはないと述べた。 台湾はアルゼンチンとは国交がないが、台湾外交部(外務省)は、今回の選挙で最多得票を獲得した「3つの陣営全てと接触した」と述べ、アルゼンチンとの実質的な関係を積極的に発展させたいという台湾の意向をどの陣営にも説明したという。
アルゼンチンの極右派で自由経済学者であるミレイ氏は、8月13日に700万票以上の最多得票を得て与党と最大野党を破り、10月22日に行われる決選投票で次期大統領になる可能性が高い。
ミレイ氏が行ってきた反中国的な発言に対し、台湾外交部中南米局の鄭力城局長は、中南米諸国の多くが中国と経済交流を行ってきたが、その結果「実利は得られていない」と述べた。 ニカラグアやエルサルバドルなどかつての台湾の友好国は、中国との国交樹立後、深刻な対中貿易赤字を経験しただけでなく、中国への輸出額は台湾への輸出額を下回っている。鄭局長は「この状況にアルゼンチンの最有力候補が注目したと考えている」と語った。2022年のデータによると、アルゼンチンの対中貿易赤字は94億9400万米ドル、輸出は80億2200万米ドル、輸入は175億1600万米ドルだった。
台湾はアルゼンチンと国交がない。外交部の兪大㵢常務次長(事務次官)は、3月に受けたアルゼンチンメディア「infobae」のインタビューで、「中国は、国際舞台において台湾の孤立を図っている」とし、「中国の干渉がなければ、我が国はすでにアルゼンチンの首都ブエノスアイレスに大使館を設置していた」と語っている。
米「フォーリン・ポリシー」誌は、ミレイ候補がブラジルと中国(両国はそれぞれアルゼンチンの第1、第2の貿易相手国)との関係を大幅に縮小すると公約したことは、ブラジルのボルソナロ前大統領と同じく極右ポピュリスト色が強く出ており、アルゼンチン経済に「危険な結果」をもたらす可能性があると分析している。
ミレイ候補がアルゼンチンと中国の外交関係に疑問を呈したことに対し、アルゼンチン・中国友好協会から抗議の声が上がっている。同協会は、特に中国のアルゼンチン産大豆、豚肉、牛肉に対する市場開放政策に影響が出るとして、アルゼンチン経済に不必要なダメージを与えかねないと懸念している。
一方、台湾の友好国であるグアテマラの大統領選挙が終わったばかりだが、 鄭局長はベルナルド・アレバロ次期大統領は、引き続き台湾との友好関係を維持すると表明したことを明らかにした。台湾政府は在グアテマラ大使館を通じて、正式にアレバロ氏の当選を祝福したという。両国政府は、これまでの良好な基礎の上に協力して交流を深めていく。アレバロ氏は来年1月14日に大統領に就任する予定で、台湾も祝賀のために同国を訪問するとしている。