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GPU(グラフィックス プロセッシング ユニット) 大手NVIDA社が、ライバルの AMD に対抗する生成AI用途に向けた新製品「GH200」を発表した。また、米国が中国への半導体輸出規制を強化する中、規制対象外となるスペックを下げた製品を発売し、中国市場への売り込みを図る。
NVIDIAは8月8日、ライバルのAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)に対抗する新製品「GH200」を公開、サーバー関連のサプライチェーンとしてASUS、Quanta、GIGABYTEの台湾メーカー3社を発表した。ハイエンドの新製品だけでなく、米国の対中半導体輸出規制を回避するため、新たに低スペック製品の発売も予測されている。
NVIDIA、AMD対抗するGH200 を発売
生成AI の発展著しい中、NVIDIA は 2 つの大きな課題に直面している。1つ目は最大のライバルであるAMDが頻繁に新製品を発表していること、2 つ目は、米国の対中輸出規制により、中国市場が衰退の危機に瀕していることである。8 月 8 日、NVIDIA のジェンスン・ファン社長兼 CEO は2023年度の「SIGGRAPH(シーグラフ: アメリカのコンピューター学会内でCGを扱う分科会および、同会が主催する国際会議&展示会)」において次世代NVIDIA Grace Hopper™ Superchipを発表した。OpenAI の ChatGPT などの多くの言語モデルに合わせて設計されたもので、グローバルデータ センターの開発を進めるものだという。
NVIDIA のイアン バック副社長兼HPC 事業本部長氏は、ウォールストリート ジャーナルの取材に対し、GH200 は前世代の H100 製品よりも多くのメモリを搭載可能で、 NVIDIA の新技術である NVIDIA Grace™ および Hopper™ のアーキテクチャを組み合わせ、144個のArm「Neoverse」コアを集積している。チップ容量は141 GB、帯域幅は 5 TB/秒 に向上し、コストと消費電力を効果的に下げられるという。 製品は2024年の第2四半期に発売される予定だが、価格は明らかになっていない。

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NVIDIA のターゲットは中国市場
AMDは業界の動向に合わせ、パソコン用のCPUからAIのコアチップGPUへと転向を進めている。今年6月にはAMDのリサ・スー会長兼CEOが生成AI向けのGPU「Instinct MI300X」を搭載するプラットフォーム「AMD Instinct Platform」を発表した。
AMDの従来品MI300Aは CPU と GPUのチップレットが混在する仕様であったが、急成長する生成 AIに向けて、今回発表された MI300XはMI300Aの 3 つの CPU チップレットを 2 つの CDNA 3 GPU チップレットに置き換えている。MI300XはGPU専用であることに加え、メモリ容量が大幅に増える。新製品の発表によりAMDとNVIDIAの競争は更にヒートアップすると見られている。