2023-09-01 ライフ

これが「オーギョーチ」だ!暑い台湾の夏の風物詩に脚光【検証!台湾グルメ世界最強説】④

© 「不一様甜品店」の「阿里山手作愛玉」=2023年7月21日、台北市(吉村剛史撮影)

注目ポイント

NHK連続テレビ小説「らんまん」で、主人公の台湾調査旅行に関するキーワードとなった「オーギョーチ」(愛玉子)が注目されている。台湾固有のクワ科イチジク属のつる性植物の名で、同時にその果実からつくられる寒天状スイーツ名でもある。台湾では夏の風物詩などとして親しまれており、日本の台湾料理店でデザートメニューとしてお目にかかることも。最近は缶詰や自宅で手作りできるキットなども入手可能で、まだまだ厳しい残暑のなか涼感に満ちた台湾スイーツを楽しむのもよさそうだ。

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涼感あふれるオーギョーチ(愛玉子)は台湾の夏の風物詩だ

「オーギョーチ」が脚光を浴びたのは俳優の神木隆之介さんが主演を務めるNHK連続テレビ小説「らんまん」の8月31日放送の第109話と、9月1日放送の第110話。

「日本植物学の父」として知られる牧野富太郎(1862~1957)をモデルに、幕末から戦後まで植物学ひとすじに歩んだ主人公・牧野万太郎らの姿を描いたドラマで、オーギョーチは日清戦争(1894~95)の結果、清国から台湾の割譲を受けた日本による現地植物調査に絡んで物語に登場する。

和名はカンテンイタビで、台湾北部山間地に自生し、その名の通りペクチンを豊富に含んだ果実の種子から常温で寒天状のデザートが作られるため、暑い台湾では古くから親しまれた植物。ドラマ110話では史実に沿って台湾調査から帰国した主人公・牧野が、公用語の日本語ではなく、強い信念で現地語を用いた学名にこだわる様子なども描かれた。

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台湾北部の山間地に自生する愛玉子(アイギョクシ=オーギョーチ)の果実

スイーツとしてのオーギョーチは、それ自体に味はほとんどなく、台湾の夜市の屋台などではレモンシロップに浮かべ、冷やして提供するのが一般的。ドラマ第109話で、帰国した万太郎が妻の寿恵子(浜辺美波さん)らに「のど越しのええ食べ物」と紹介したように、暑い台湾ではその涼味こそが珍重されてきた。

市街のレストランのデザートとしてお目見えすることも多く、おしゃれな甘味店では夜市で提供される庶民的なイメージを抜け出し、洗練された雰囲気すら漂わせている。

台北市の中心部・中山北路2段に最近開店したスイーツ店「不一様甜品店」でも「阿里山手作愛玉=レモンアイユーゼリー」として1杯100台湾元(約460円)で提供しており、「この暑さなので当店の手作りオーギョーチは、マンゴーかき氷や豆花などと並んで日本人観光客や駐在員にも大人気ですよ」と話している。

「不一様甜品店」の「阿里山手作愛玉」=2023年7月21日、台北市(吉村剛史撮影)

日本でも本格的な台湾料理店をはじめ、中華レストランチェーンなどで見かけるようになってきており、ネットショップをふくむアジア食材店などでは手作りキットやインスタント粉、缶詰なども入手可能。

東京都台東区浅草橋の「台湾茶房 家豆花」では1杯550円で提供されており、連日の暑さとドラマ効果もあってか「テイクアウトも人気です」という。

 

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