2023-08-30 政治・国際

処理水海洋放出巡り中国から迷惑電話が殺到 欧米も詳報、中東局はデータ示し安全性伝える

© GettyImages 外務所

注目ポイント

東京電力福島第1原発の処理水放出を巡り、中国側から福島県内など日本国内に迷惑電話が殺到している。岸田文雄首相は「中国発とされる多数の迷惑電話や、日本大使館、日本人学校への投石などが行われている。遺憾なことであると言わざるを得ない」と発言。中国人によるとみられるこれら一連の嫌がらせ行為を欧米メディアも詳しく報道。中東のニュース専門局アルジャジーラはデータを示し、処理水の安全性を伝えた。

ロイター通信は福島市役所職員の話として、市役所では24日から中国の国番号+86の電話が鳴り始め、翌日にはその件数が200を超え、電話回線がパンクし市職員の通常業務に支障をきたしたと伝えた。市内の小中学校でも25日、同様の迷惑電話が65件あったという。

電話の主の中には、「誰にとっても海である太平洋に、なぜ汚染水を放出するのか」という趣旨のコメントがあったという。他の自治体やホテル、レストランにも同様の電話がかかってきているという。

実際、福島中央テレビによると、福島県二本松市などのラーメン店では25日午前10時ごろから+86で始まる中国からの電話が相次いだ。電話主は、「ショリスイ」などの言葉も使い中国語で一方的に話し、着信拒否をしても別の番号からかかってきて、系列の4店舗で合わせて1000件以上の着信があったという。

また、中東のニュース専門局アルジャジーラ(電子版)は、「日本は24日、オリンピックプール500個分以上に相当する福島第1から出た排水を処理し、希釈した水の放出を開始した。この水は、損傷した原子炉を冷却するために使用され、現在、敷地周辺の巨大タンクに保管されている」と説明。

その上で、海洋放出については、「水素の同位体であるトリチウムを除き、全ての放射性物質が汚染水から浄化されている。トリチウムは除去が困難だが、安全基準内まで低減。トリチウムは中国を含む原子力発電所の通常運転中にも放出されている」と安全性について解説した。

さらにアルジャジーラは、福島第1原発を含む、各国の原発からのトリチウムの年間排出量を比較した棒グラムを掲載。福島第1は今後、1年間で22兆ベクレル排出する計画で、その数値はグラフで紹介された世界7か所の原発のうち最小量。これに対し、グラフが取り上げた中国・秦山原発と同・紅沿河原発からのトリチウムの年間排出量は、それぞれ143兆ベクレルと87兆ベクレルで、福島を大きく上回っていることを示した。

 

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