2023-08-29 政治・国際

処理水放出で日本の水産物を禁輸の中国 「裏目に出るかも」と香港紙報道

© GettyImages 中国・香港の魚市場

注目ポイント

日本政府が東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を始めたことを受け、中国は日本の水産物輸入を24日から全面的に停止した。だが、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、この措置が「裏目に出る可能性がある」とする専門家らの見方を伝えた。

匿名を条件に同紙の取材に応じた同会員は、「漁業や養殖業に影響を与えるのは間違いない。一部の国内企業も影響を受けるだろう」と述べた。「聞くところによると、少なくとも短期的には、多くの人が魚介類を食べなくなる。このような風潮が広まれば、業界にとって危険な兆候だ」と胸中を明かした。

中国東部・蘇州のコンサルティング会社「BRIC農業信息技術」は24日、国内の漁業と水産養殖業界への広範な影響を予測した報告書を公表。「水産物消費への国民の意欲が影響を受け、沿岸都市の水産物市場の客足が減少する可能性がある。一方で、価格引き下げとともに、水産物の売上も低迷する」との見通しを示した。

中国税関統計によると、今年1月~7月にかけ中国は日本から19億3700万元(約389億円)相当の水産物を輸入。だが、7月の日本からの出荷額は2億3500万元で、「食品の安全性への懸念」により前月から3分の1程度減少したという。

山東省威海市にある山東大学海洋学部の王雅民教授は、放出された処理水はある程度、中国の海域に到達する可能性はあるが、北太平洋の流れの方向を考えると、それほど大きな影響はないはずだと指摘。「福島付近の海流は時計回りに動き、水は北東、つまり北米の方向に流れる。近い将来に大きな影響はないだろう」と述べた。

 

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