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台湾は処理水の放出計画について状況を確認するため、3度にわたって専門家チームを日本に派遣。放出作業は国際安全基準に合致しているとの認識を示している。

(台北中央社)日本政府が22日、東京電力福島第1原子力発電所の処理水の放出を早ければ24日に開始すると決定したのを受け、行政院(内閣)原子能委員会(原子力委員会)は同日、報道資料を通じて対応措置を説明し、放出開始後には実際の状況に応じて拡散シミュレーションを行い、海水中のトリチウムの濃度の拡散予報を提供する方針を示した。
同委によれば、政府は省庁横断で対応プラットフォームを立ち上げ、放射能モニタリングを強化してきた。海水や水産物、日本から輸入された食品などについて抜き取り検査を実施し、海域環境や食品の安全を確保している。同委は、これまでの検査では全て合格だったとし、今後もモニタリングを継続し、放出前に構築したデータベースと比較分析することでモニタリング計画を柔軟に調整していくとした。
また、放出後の台湾の海域への影響については、2011年の福島第1原発事故以降10年間の海流のデータを基に海洋拡散シミュレーションを実施したところ、処理水は主に北太平洋海流に沿って、米国西海岸の方面に流れていくとの結果が出たと説明。一部は北太平洋の中規模渦の影響で約1~2年後に台湾付近の海域に到達し、トリチウム濃度は放出の4年後に最大値になるとの見通しを示した。一方で、その濃度は海域に自然に存在するトリチウムの濃度の平均値よりもはるかに低いとみられ、台湾付近の海域の安全面への影響は無視できる程度だとした。
台湾は処理水の放出計画について状況を確認するため、3度にわたって専門家チームを日本に派遣。放出作業は国際安全基準に合致しているとの認識を示している。
▽ 反原発団体、「遺憾と失望」表明
原発廃止を求める市民団体「全国廃核行動」は22日、日本政府が処理水の放出開始日を決定したことに「非難と抗議」を表明。日本政府が各国の漁業従事者や国際社会の呼びかけを顧みずに放出計画を堅持していることに対し、「遺憾で失望した」とコメントした。
(曽智怡、張雄風/編集:名切千絵)