注目ポイント
「米国が中国の侵攻から台湾を守るのは2028年までだ」と発言して、波紋を広げているのは、2024年の米大統領選で共和党候補指名を争う実業家ビベック・ラマスワミ氏(38)。その発言の意図とは、そしてラマスワミ氏とは一体どういう人物なのか。
2024年米大統領選の共和党候補指名争いに参戦したインド系実業家ビベック・ラマスワミ氏(38)は、「米国が中国の侵攻から台湾を守るのは2028年までだ」と発言。中国が「台湾問題は核心的利益の核心」と主張し、「台湾統一のためには武力行使の放棄はしない」と明言する中、ラマスワミ氏の発言は波紋を広げている。
その発言の意味するところとは何なのか。ラマスワミ氏は、米国が台湾を守るのは半導体生産を依存しているためで、5年後までには米国で自給を実現すると強調した。これに対し、「米国の利益だけを優先する姿勢」だとして一部から批判を浴びている。
無名だったラマスワミ氏は今年2月、米FOXニュースの番組に出演中に大統領選への出馬を表明。過去には目立った政治活動もなく、有力な支援者もいなかったので、メディアは泡沫候補とみなしてきた。
ところが、トランプ前大統領(77)が掲げた「米国第一」路線の踏襲を打ち出し、歯に衣着せぬ発言で「若手のアウトサイダー」として存在感を放つ。各種世論調査でも、支持率がペンス前副大統領(64)ら共和党有力者を上回り、圧倒的人気のトランプ氏、2位のデサンティス・フロリダ州知事(44)に続く3位につけている。
先週はラジオ番組で、大統領選で勝利すれば、1期目が終わる29年1月までは「中国に台湾へ手を出させない」と主張。その間に必要な半導体を米国で全て生産できるようにすると公約。自給達成後は、台湾を守る方針は変わるとし、「それが国益だ」と言ってのけた。
そもそもラマスワミ氏と何者なのか
ラマスワミ氏はインド移民の子で、中西部オハイオ州シンシナティの中産階級の家庭で何不自由なく育った。家庭環境は先祖からのヒンドゥー教だったが、カトリック系の高校に通い、名門ハーバード大学に進学。卒業後はイェール大学のロースクールに学んだ超エリート。
キャリアをスタートさせたラマスワミ氏は、バイオテクノロジー分野への投資により巨額の富を得た。米経済誌「フォーブス」によると、現在、同氏の推定資産は少なくとも6億3000万ドル(約920億円)。
21年にはベストセラー本となる「Woke Inc.」を出版。若くして成功した起業家として、将来の米国型資本主義の方向性を示し、大きな反響を呼んだ。だが、ある書評には「道徳的かつ商業的な意思決定を行う企業に対する、傷ついた右翼の叫び」と酷評された。
デサンティス陣営が恐れるラマスワミ氏
先週、デサンティス氏を支持する政治活動団体が23日に行われた初の共和党予備討論会で、同氏がどう行動すべきかについて注意書きしたメモが流出した。