2023-08-23 政治・国際

台湾『ジェンダー労働平等法』が可決:「権力によるセクハラ」の定義を追加し、申立の時効を延長

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注目ポイント

#MeToo事件が長引く中、立法院は臨時会議を開き、7月31日に「ジェンダー労働平等法」の一部条文の修正案を可決した。修正案では、権力や最高責任者等の地位を利用したセクシュアル・ハラスメントに対する懲罰的損害賠償に関する規定が追加され、さらに権力によるセクハラは量刑が重くなり、最高3年の懲役刑に処される。新法は、来年(2024年)3月8日に施行される。同時に、申立制度を改善し、権力者によるセクハラに対する申立の時効を延長する。

台湾のMeToo運動は主に職場で発生しているが、被害者は仕事への影響を恐れて我慢し、告訴をためらうケースが多い。そのため、立法院は臨時会議を開き、「ジェンダー労働平等法」の一部条文の修正案を可決した。職場におけるセクハラ防止の関連制度を強化し、被害者の権利と利益を保護する。

今回可決された修正案の中で、最も注目される部分は、「権力や地位を利用したセクシュアル・ハラスメント」の定義を追加したことであり、雇用や求職または職務執行に関連して指導・監督する立場の者が、地位や機会を利用してセクハラ行為に及ぶことを「権力を利用したセクハラ」と定義した。また、被雇用者が、労働時間外において職場の同僚、異なる職場であっても共同作業や業務取引を行う者、最高責任者や雇用者からセクハラを受けた場合には、修正後も「ジェンダー労働平等法」が適用される。

また、修正案には、権力や最高責任者の地位を利用したセクハラに対する懲罰的損害賠償に関する規定も追加された。加害者が権力を利用したセクハラによって損害賠償責任を負う場合、裁判所は侵害の状況に応じて損害額を裁量し、1~3倍の懲罰的損害賠償を命じることができる。加害者が責任者や雇用主である場合、被害者は損害額の3~5倍の懲罰的損害賠償を請求することができる。

また、修正案では、被申立人が有力な地位にあり、事案が重大なものである場合には、雇用主は、調査期間中、被申立人の職務の停止、調整等の一時的な措置をとることができる規定も追加された。セクハラの情状が重大であると認められた場合、雇用主は予告なく労働契約を終了させることができる。また、加害者が最高責任者である場合には、地方当局の調査期間中、被害者は、職務又は勤務形態の調整を請求することができる。

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今回の修正案では、地方当局が申立人に対して法律相談や支援を行うことや、申立人や雇用主に関連サービスの提供や紹介などで支援すること、中央の主管機関が適宜、地方当局に対してサポートを行うことも明記された。

今回の法改正では、被害者の公訴時効も延長される。


 

立法委員「労働部は敏感さに欠ける」

修正案が可決された後、国民党の遊毓蘭立法委員は、依然として残念な点があるとの考えを示し、労働部に対し、衛生福利部、教育部の経験を積極的に学び、職場におけるジェンダー平等の向上に全力を尽くすよう呼びかけた。

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(写真)立法院でジェンダー労働平等法が一部の条文を修正して可決された後、国民党の立法委員らは議会内でスローガンを掲げて記念撮影をした。

民進党の范雲立法委員は、今回の法改正によって「ジェンダー労働平等法」の多くの穴が埋められたと指摘する一方、法改正よりも難しいのは文化の変化であり、特に職場や社会全体でセクハラが軽視されていることであるとし、真のジェンダー平等の環境をどうやって作っていくか、今後も一緒に努力していく必要があるとした。


 

 

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