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鴻海(ホンハイ)精密工業の創業者、郭台銘氏は22日、離島・金門で開かれた政治イベントに参加し、2千万米ドルを投じて、両岸の対話会議の定期開催を目指す財団を立ち上げる考えを示した。

(金門中央社)鴻海(ホンハイ)精密工業の創業者、郭台銘(テリー・ゴウ)氏は22日、離島・金門で開かれた政治イベントに参加し、2千万米ドル(約29億円)を投じて、両岸(台湾と中国)の対話会議の定期開催を目指す財団を立ち上げる考えを示した。
郭氏は5月「両岸は一つの中国に属し、どちらが中国かはそれぞれが主張する」という原則の下、両岸交渉の再開を訴える独自の「金門平和宣言」を主張。この日は新たに「金門平和イニシアチブ」を提唱し、北京当局に対して中華民国が存在する事実を正視し、武力による脅迫で引き続き台湾を統一させようとするのは逆効果を招くだけだと呼びかけた。
その上で台湾で最も強大な主流の民意は、台湾に暮らす2300万人が追い求める自由民主主義と平和の願いであると強調。両岸は共に助け合い、栄える基礎に戻ることができると語った。
財団については、シンクタンクやメディアプラットフォームの設立の他、両岸の学術研究機関やシンクタンクの専門家の対話、世界の平和団体との関係構築と対話の推進を図るとした。
また大学などでの平和に関するカリキュラムの設定や奨学金の提供、米国や日本のシンクタンクに対する両岸研究や学術交流の奨励、2016年の蔡英文(さいえいぶん)政権発足以来途絶えている文化交流の再開などを目指す方針を示した。
郭氏は、困難を恐れず、余生は両岸の平和を追求し、両岸の平和で世界の平和と繁栄をもたらしたいと語った。
会場には洪允典金門県議会議長(野党・国民党)や陳玉珍立法委員(同・国会議員)の他、約千人の支援者らが集まり、声援を送った。
一方、この日は国民党の総統選候補、侯友宜(こうゆうぎ)新北市長も金門を訪問し、両岸をつなぐ電力ケーブルや天然ガスのパイプライン設置、貨客ターミナルの建設などを推進すると主張。1992年に両岸間で合意したとされる「92年コンセンサス」の下、対等と尊厳の原則に基づき、両岸交渉を再開させ、台湾海峡での衝突のリスクを低減させたいと訴えた。
(劉冠廷/編集:齊藤啓介)