2023-08-22 経済

難航する核のごみ処分 台湾電力、フィンランドや日本から知見

注目ポイント

原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場を巡り、建設地選定が難航している台湾は、フィンランドや日本の経験を参考に、場所選定の関連作業を進めている。

難航する核のごみ処分 台湾電力、フィンランドや日本から知見=資料写真

(台北中央社)台湾では原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場を巡り、建設地選定が難航している。大きな障壁となっているのは、地元住民からの了承だ。台湾電力は世界初の処分場の建設が進むフィンランドや、台湾と同じく環太平洋火山帯に位置する日本の経験を参考に、場所選定の関連作業を進めている。

台湾では3カ所、計6基の原発を稼働してきたが、第1原発(新北市石門区)と第2原発(同万里区)の4基はすでに運転を停止し、現在稼働しているのは第3原発(屏東県恒春鎮)の2基のみとなっている。第4原発(新北市貢寮区)は建設が凍結されたままだ。高レベル放射性廃棄物は現在、原発3カ所に貯蔵されている。

現在、世界で最終処分場の建設計画が明確に進展しているのはフィンランドとスウェーデン、フランスのみ。フィンランドでは、25年に最終処分場が稼働する見通し。

経済部(経済省)の官僚は、この3カ国は地質が比較的安定しており、環太平洋火山帯に位置する台湾とは異なる部分があると指摘する。そのため、台湾電力が参考にしているもう一つの国が日本だ。台湾電力は、高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する研究施設を訪問するなどしている。

日本では日本原子力研究開発機構が岐阜県瑞浪市に「瑞浪超深地層研究所」、北海道幌延町に「幌延深地層研究センター」を設置し、実際に地下深くまで坑道を掘り研究を進めている。瑞浪の施設では坑道を利用した研究段階をすでに終え、昨年、坑道の埋め戻しが完了している。

台湾電力は引き続き情報交換や視察を通じて日本から知見を得ていく方針を示している。

(曽智怡/編集:名切千絵)

 

 

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