2023-08-18 政治・国際

中国、中学校のセクハラ授業がネットで大炎上 被害女性の「派手な服装、軽率な行動」批判で

© Getty Images

注目ポイント

中国南部・広東省肇慶(ちょうけい)市の中学校で行われたセクハラに関する授業が物議を醸している。被害者を非難するような内容に、ネット上では炎上。学校と当局の不適切な対応が批判を浴びている。

中国共産党機関紙・人民日報によると、広東省肇慶(ちょうけい)市にある中学校が昨年、性教育に相当する「メンタルヘルス教育」の授業を実施した。これが今年になって授業で使用された教材の画像などがソーシャルメディアで拡散され、明らかになった授業内容に批判が集中している。

問題の画像は教材のテキストを撮ったもので、関係者によると、授業内容は「セクハラは主に性的欲求が動機となっている。セクハラ被害の多くは、被害者の服装や挑発的な行動によって引き起こされている。そのため、女子として知っておくべきことだ」として、「透けた露出の高い服装、言動、行為が軽薄であってはならない」などというものだった。

さらに、セクハラ被害者は「派手な服装や軽薄な行動をしたため苦しんでいる」とし、まるで被害者の落ち度のように批判した。

米CNNによると、この授業は大勢のSNSユーザーの怒りと不信感を招き、「家父長制社会における根深い男女不平等を反映した考え方」だとして保守的姿勢を非難する意見も多かった。

「微博(ウェイボー)」では、「あのクラスの先生には問題がある」とするトップコメントに1万9000件の「いいね!」が寄せられ、被害者を責めることの危険性や、女性が何を着ているかに関係なく標的にされることが多いと指摘するコメントもあった。

この批判を受け、地元教育当局は先週、拡散されたSNS上の画像は、昨年4月に指摘された中学校で行われた授業のものだったことを認めた上で、「授業で不適切な表現があり、(ネット利用者に)誤解を招いた」との声明を発表した。

声明はまた、同地区の教育局はこれを問題視し、「関係者を教育する」とし、授業の見直しと教員研修の改善を学校に命じたと付け加えた。

だが、一部がこれに反発。声明では「誤解」という表現が繰り返し使われたことに異議を唱え、教材は単なる間違いではなく、中国国内に蔓延している現実を反映したものだと主張。あるコメントは「オンラインの人たちは〝誤解〟していない」とし、「処分が軽すぎる」と訴えた。

今回の騒動に中学校側はコメントしていない。

CNNによると、中国でもここ数年、「#MeToo運動」のような論争が数多く起きており、当局による検閲やフェミニスト活動に対する継続的な弾圧にも関わらず、繰り返し話題になっている。

例えば、国営オンラインニュース「ザ・ペーパー」によると、昨年11月、浙江省の公衆トイレで若い女性が男に襲われる事件が発生した。ネット上では「露出度の高い服装だったから」などと被害女性に否があったかのようの意見が散見。これに対して被害女性の母親は同ニュースに、「服装が理由で殴られる道理はない。そんなことが犯罪の理由になるのか?」と話し、憤りをあらわにした。

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