2023-08-17 政治・国際

中国の不動産大手・碧桂園がデフォルト危機  恒大に続く大型破綻なら苦境経済に追い打ち

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注目ポイント

中国恒大集団に続き、中国では大手不動産の深刻な経営悪化が相次いでいる。同国の不動産大手・碧桂園は先週、今年1~6月期の純損益が最大550億元(約1兆1000億円)の赤字になるとの業績予想を発表した。米紙ニューヨーク・タイムズは、デフォルト危機に直面する同社の経営危機が、なぜ中国経済全体を脅かすのかを解説した。

中国不動産開発大手・中国恒大集団(エバーグランデ)の経営危機に続き、不動産大手の経営問題が相次いで表面化している。 

恒大集団が外貨建て債務の再編計画の合意取り付けに時間がかかっているほか、中国の不動産大手・碧桂園(カントリー・ガーデン=広東省仏山市)は10日、今年1~6月期の純損益が最大550億元(約1兆1000億円)の赤字になるとの業績予想を発表した。 

碧桂園はまた、発行したドル建て社債2本総額2250万ドル(約33億円)の保有者に対して、今月7日が期限だった利払いを履行できなかった。利払いが行われなかったのは2026年2月満期債と30年8月満期債。30日間の猶予期間内に支払いができなければデフォルト(支払い不能)となる。 

一方、同じく不動産大手の遠洋集団も14日、今年1~6月期の純損益が最大200億元(約4000億円)の赤字になる見通しだと発表した。不動産市場が低迷し、収益が悪化した。利払いが滞った遠洋集団の米ドル建て債券の取り引きが停止されたことも明らかになった。 

だが、中国経済により深刻な影響を及ぼすのは碧桂園だ。 

同社は米経済誌「フォーチュン」による2021年の世界企業500社売上高番付にランクインした大企業。今月10日夜の発表で業績悪化の理由に関し、「不動産の販売不振の影響で、利益率が低下した」と説明した。1~7月の販売額は1408億元(約2兆8000億円)と前年同期と比べて35%減少し、為替変動による損失も発生したという。 

米紙ニューヨーク・タイムズは15日、「かつて中国最大の不動産開発企業とされた碧桂園は、数十億ドルの損失と2000億ドル(約29兆円)の債務を抱え、デフォルトに直面している」とし、同社の経営危機がなぜ中国経済を脅かすのかについて解説した。 

同紙によると、碧桂園の莫斌(モー・ビン)社長は先週、「人は落ちたところから立ち直らなければならない」とし、「努力を惜しまない」と誓った。だが、「問題はいち企業よりもはるかに大きく、タイミングとしてはこれ以上に悪いものはない」という。碧桂園の債務不履行は、長年にわたり打撃を受けてきた中国の巨大な不動産市場における新たな崩壊の最新例となるからだ。  

新型コロナウイルス禍の後、経済復興を切実に必要としている中国で、住宅価格の下落、消費者の支出の減少、企業への信頼感の低下により、成長は鈍化している。専門家らは、碧桂園問題がより広範な金融市場に波及し、不動産業界の回復を妨げ、経済全体に被害が広がることを懸念している。 

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