2023-08-18 経済

台湾 デルタ電子、トヨタ電気自動車のサプライチェーンに参入 AIサーバーの受注増で収益増へ

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注目ポイント

台湾の電子機器メーカー、デルタ電子(台達電子工業股份有限公司)は、子会社との連結決算当期純利益が81億4,900万台湾ドル(約368億3348億円)、1株当たり利益(EPS)が3.14台湾ドル(約14.19円)に達したと発表した。サーバー関連事業が好調で業績はさらに更に良くなる見込みだという。

デルタ電子は近年、電気自動車市場への参入で成果を上げ、日本最大手の自動車メーカー、トヨタ自動車グループのTier1サプライヤー(ティアワン、メーカーに直接納入する一次サプライヤー)になったことが報じられている。8月1日に行なわれた決算報告会で、デルタ電子の海英俊董事長は2024年には、AI(人工知能)のシェアが現在の15%から大幅に増加し、更に市場状況が改善すると述べた。

 

デルタ電子が電気自動車のサプライチェーンに参入

デルタ電子は電気自動車市場への参入で成果を上げ、最近、電気自動車に使用するモーターや電子制御装置などの部品の受注を獲得した。今年第4四半期に出荷を開始、受注額は数十億台湾ドルに達し、来年は倍増する見込みだという。

トヨタは電気自動車市場でテスラやBYDと激しい競争を繰り広げているが、最近発表されたデータによると、2023年1月から6月の上半期、ダイハツ工業、日野自動車を含むトヨタグループの全世界生産台数は前年同期比で10%増加し、過去最高となる562万台を記録した。電気自動車の分野でも進展があり、7月上旬、一体成型で大型鋳造部品を作る新技術「ギガキャスト」を、次世代電気自動車(EV)に投入する計画を発表した。新技術により、電気自動車の部品数の大幅な削減、生産工程の短縮、生産効率の大幅な向上につながるという。

トヨタの電気自動車技術の進化については、外部の評価も高く、デルタ電子もトヨタのサプライチェーンに加わることで、電気自動車分野の業績がアップすると見られている。またデルタ電子は、東南アジアの電気自動車充電スタンド市場においてもシェアを伸ばしており、追い風となっている。

デルタ電子は、充電スタンド市場について、電気自動車市場の急速な普及と競争の激化により、電気自動車メーカー迅速に市場に参入するために生産サイクルを短縮する必要があり、電気自動車と充電設備の互換性と安全性に、より厳格な条件が要求されるだろうとの見解を示している。

 

海英俊デルタ電子董事長: 受注は好調、来年は AI サーバーの注文が更に増加

 AIサーバー分野では、データセンターの設置需要が急増し、商機を牽引している。海英俊董事長は「現在売上高の15%をサーバー電源が占めており、受注も急増している。来年は更に増加するだろう」と述べた。

デルタ電子は今年6月に、シンガポールの南洋理工大学(NTU)と協力し、AI分野の研究を進めるため「デルタ・南洋理工先端ロボティクス研究所」を設立した。この研究所はヒューマン・タッチ、スマート・センシング、レーダー、センサー、リアルタイム意思決定が可能な次世代自律移動ロボット(AMR)を3年間で開発する計画だという。

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