注目ポイント
コロナ禍が収束に向かい、世界的にサプライチェーンの再編成が進んでいるが、とりわけ半導体業界では、大手メーカーが台湾を物流拠点に選ぶ動きが続いている。 このほど、マイクロンが 「アジア太平洋ロジスティクスセンター」プロジェクトを再始動すると発表、市場の注目の的となっている。
画像処理プロセッサ(GPU)の2強であるNVIDAとAMDが、相次いで台湾に物流センターを設立すると発表すると、メモリ大手のマイクロンもアジア太平洋ロジスティクスセンター・プロジェクトを再始動すると考えた。 米中対立という地政学的な背景もあり、サプライチェーンの再編が進む中、「地域物流」が新たなビジネスチャンスになると期待されている。
マイクロンがアジア太平洋物流センター計画を再開、台中に開設予定
生成AIの爆発的なビジネスチャンスと、チップやヒートスプレッダなど関連サーバー部品の需要増加の恩恵を受け、世界有数のファウンドリーTSMCは、竹南サイエンスパークにパッケージングに加えてテストも行う最新工場「Advanced Backend Fab 6」を稼働させたほか、新竹サイエンスパーク内の銅鑼園区に生産ラインを拡張している。
業界に後押しされる形で、マイクロンは中断していた「アジア太平洋物流センター」プロジェクトを再開することを確認し、今年(2023年)第4四半期に完全な計画を発表する見通しだ。 経済部(経済省)の高官は「工商時報」に対し、マイクロンの物流センターの拠点は台中になると明かした。
実際、エレクトロニクス産業におけるロジスティクスの商機は熟しつつある。 コロナ後の地政学的圧力の高まりのため、またコロナ禍で起こったサプライチェーン寸断の課題を繰り返さないために、テクノロジー企業は、ロジスティクスの役割に特に重点を置いて、世界的なローカライズを計画している。
国際的な物流会社であるディメルコ・エクスプレス(中菲行國際物流、英文名Dimerco)は、「ウェーハ製造中に機械が故障した場合、失われる時間は数千万ドルの損失に相当する。だからこそ、信頼性の高い半導体部品修理ソリューションが非常に重要だ」と指摘する。
ディメルコによれば、ほぼ全てのメーカーが機器の故障に対処するための物流ソリューションを持っており、電子部品の特性に特別な注意を払っている。 例えば、これらの補修部品は壊れやすいため、輸送中の振動、傾き、温度変化から保護する必要がある。 そのため、変動を監視するための特別な測定器を設置する必要がある。
地政学の下、半導体ロジスティクスのビジネスチャンスが生まれる
部品特有の輸送や保管に加え、需要予測や在庫管理も重要だ。業界関係者によると、コロナ禍で世界中のサプライチェーンが寸断されたことで、労働者と運転手が隔離され、陸上輸送の人員不足による制約があったこと、更に米中情勢の下で、多くの重要な部品の在庫と輸送ルートが不明であることが、ハイテク企業が率先して物流ラインを構築する原因の一つとなっている。