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台湾南部・屏東県霧台郷キヌラン(吉露)集落で14日、日本の農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が51年にわたって保存していた台湾在来種のアワの種子を畑にまき、栽培を復活させる試みが始められた。

(屏東中央社)台湾原住民(先住民)が多く暮らす南部・屏東県霧台郷キヌラン(吉露)集落で14日、日本の農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が51年にわたって保存していた台湾在来種のアワの種子を畑にまき、栽培を復活させる試みが始められた。
アワは台湾原住民の重要な農作物とされるが、キヌラン集落では2009年の台風被害により、在来種の種子が失われていた。
中山大学(南部・高雄市)西湾学院の王宏仁院長は、実地調査を通じ、1972年に日本の研究者が調査でキヌラン集落を訪れた際、アワの種子を持ち帰り、栽培と保全が行われたことが明らかになったと説明。その後、種子は農研機構で保存されていることが分かり、今回台湾での栽培復活の了承を得られたと語った。
種まきに際しては関連の儀式が行われ、中山大の学生らが地元の年配者らと畑に入り、先祖の霊に感謝の意を伝えた。
集落を取りまとめる羅玉梅さんは、栽培の復活に感動と感謝しかないと語った。
王氏によると、今後収獲されるアワは9割が集落で利用される他、1割は中山大によって商品開発が行われ、霧台地域の産業振興を図るという。
(李卉婷/編集:齊藤啓介)