2023-08-15 政治・国際

台湾固有のアワ 先住民の集落で栽培復活 日本の研究機関が種子を保存

注目ポイント

台湾南部・屏東県霧台郷キヌラン(吉露)集落で14日、日本の農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が51年にわたって保存していた台湾在来種のアワの種子を畑にまき、栽培を復活させる試みが始められた。

日本の研究機構が保存していた台湾在来種のアワの種子を畑にまくキヌラン(吉露)集落の住民や中山大の学生ら(中山大提供)

(屏東中央社)台湾原住民(先住民)が多く暮らす南部・屏東県霧台郷キヌラン(吉露)集落で14日、日本の農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が51年にわたって保存していた台湾在来種のアワの種子を畑にまき、栽培を復活させる試みが始められた。

アワは台湾原住民の重要な農作物とされるが、キヌラン集落では2009年の台風被害により、在来種の種子が失われていた。

中山大学(南部・高雄市)西湾学院の王宏仁院長は、実地調査を通じ、1972年に日本の研究者が調査でキヌラン集落を訪れた際、アワの種子を持ち帰り、栽培と保全が行われたことが明らかになったと説明。その後、種子は農研機構で保存されていることが分かり、今回台湾での栽培復活の了承を得られたと語った。

種まきに際しては関連の儀式が行われ、中山大の学生らが地元の年配者らと畑に入り、先祖の霊に感謝の意を伝えた。

集落を取りまとめる羅玉梅さんは、栽培の復活に感動と感謝しかないと語った。

王氏によると、今後収獲されるアワは9割が集落で利用される他、1割は中山大によって商品開発が行われ、霧台地域の産業振興を図るという。

(李卉婷/編集:齊藤啓介)

 

 

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