注目ポイント
「戦う覚悟」という自民党の麻生副総裁の発言が物議をかもしている。中国を念頭に置いた台湾での講演、真意は不明だが、「政府内部を含め、調整した」(鈴木馨祐政調副会長)との説明が事実なら、これまでの政府方針からの変更につながる。ウクライナ問題に忙殺される米国に代わって、アジア太平洋での中国抑止の主役を担おうという構想も垣間見られる。台湾側世論の一部には戸惑いもみられ、この麻生発言が空回りに終わる可能性もある。
中国を必要以上に刺激することを警戒、外部で「台湾有事」などと喧伝されことにも当惑する声が少なくない。
8月10日付の産経新聞は、台湾の与党・民進党に近い「自由新報」が「インド太平洋におけるわれわれの方向性が示された」という頼清徳副総統のコメントとあわせて「日本は裏切らない」との論評を報じた。その一方で、中国寄りの「中国時報」は、「戦争を煽る」「台湾への善意が感じられない」など日本に厳しい報道を展開しているとも報じた。
麻生発言は台湾にとって、空回りする可能性がある。
日本が積極的な外交政策のプランを描くことは大いに歓迎すべきだろうが、各国の理解を得るためには、勇ましい口説ではなく、外交、安全保障で具体的な構想を掲げ、各国に示す必要があるだろう。
日本がインド太平洋で主役を演じることができるか。
日本の野心的な外交プランはいまだ〝視界不十分〟というべきか。
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