2023-08-12 政治・国際

ピュー・リサーチ調査:24カ国で実施、中国に対する否定的見解は67%─しかし若者層に好意的な意向も浮上

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注目ポイント

先進国は、一般的に中国に対して否定的な見方をしているが、報告書によると、調査対象国の40歳以上の中年層が若者よりも中国に対して否定的に見ていることも明らかとなった。 調査対象国の約半数の国では、18~39歳の若者は、40歳以上の層よりも中国のエンターテインメントやテクノロジー、高等教育を肯定的に評価している。

米シンクタンクのピュー・リサーチ・センター( Pew Research Center)は、7月27日に大規模世論調査の結果を公表し、調査対象の24カ国が中国に対して否定的な見方を持ち、回答者の67%が中国に対して好ましくないと感じていることが判明する一方、調査対象国では、若者よりも40歳以上の中年層のほうが中国に対して否定的な見方をしていることも明らかとなった。

昨年、中国は世界で平和大使の役割を果たそうと試み、宿敵であるイランとサウジアラビアの国交正常化を仲介しただけでなく、ウクライナ侵攻の終結に向けた12項目の和平案を発表したが、自国のイメージアップに効果があったとは言い難い。

ピュー・リサーチ・センターが発表した中国に対する認識に関する最新の世論調査によると、調査対象となった多くの国で、中国を否定的に見ている人の割合が過去最高に達しており、対象の24カ国では回答者の6割以上が中国の国際的な振る舞いに対し好ましくないと考えていた。中でも日本とオーストラリアでは回答者の87%、スウェーデンでは85%、米国では83%が中国に対して好ましくないと感じていることが判明した。

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また近年、中国に対して否定的な認識が最も高まっているのは、中国との国境紛争を繰り返しているインドであり、中国に対する否定的な認識を持つと回答した人は、2019年の46%から67%に上昇した。ウクライナを支持し続けているポーランドでも、中国に否定的な見方を持つ人は2022年の55%から67%に増加しているが、おそらく中国がロシアのウクライナ侵攻を非難することに消極的であることが関連していると考えられる。

全体として、回答者の76%は、中国は外交政策において他国の利益を考慮していないと見ており、特に北米、ヨーロッパ、アジア太平洋地域の人々が強く感じている。中でも中国が利益を無視していると最も強く感じているのはスウェーデン人で、その割合は93%にも達している。 米誌フォーリン・ポリシー(Foreign Policy)もこのほど特集記事の中で、スウェーデンの中国に対する態度は、調査対象となったEU11カ国の中で最もタカ派的であるとし、その理由はスウェーデンと中国双方の関係からは説明できないが、恐らくロシアのウクライナ侵攻を受けてスウェーデンがNATO加盟に積極的になったこととは関係があるだろうと指摘した。

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中国に対する好感度が上がった国も

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