注目ポイント
2022年10月、日本、台湾の双方でコロナ禍による往来規制が大幅に緩和されると、台湾の教育部(文部科学省に相当)はただちに日台の教育交流20周年記念イベントを企画し、同年12月上旬に日程を調整した。日台間の学校交流や修学旅行が本格化して20年になることを記念し、蔡英文総統や潘文忠教育部長(文科相)が、交流に尽力した日本の教育関係者や政治家ら100人以上を台湾に招くという。望外にも筆者はその招待者リストに連なり、森田健作元千葉県知事らとともに表彰されるという栄誉に浴した。
表彰、式典、視察…盛りだくさんな記念企画
2022年12月に台北市内などで開催された記念イベントの具体的な趣旨は次のようなものだ。
20年前に日台地域間教育交流をゼロから立ち上げたり、台湾への教育旅行(修学旅行など)を推進したりした功労者を表彰することが一つ。
さらに日本各地の有名高校と、台湾各地の有名高校が、今回新たに姉妹校となることが決まっていたため、その合同姉妹校提携式を盛大に行うこと。これまた重要なセレモニーだ。
そして台湾当局は、日本からの招待者を、北部、中部、南部の3つの視察班に分け、台湾各地の教育関連の見どころや施設に案内した。これらは台湾の現地紙でも大きく取り上げられるなど、非常に大がかりなイベントだった。

20年前、各地で同時に動き始めた人々
筆者はちょうど20年前、当時勤務していた大阪の府立高校と台湾の高校との教育交流を始めた。その後2006年に管理職になってからは、勤務した全ての高校が台湾への修学旅行を実施した。それがその後の関西圏における台湾修学旅行ブームに繋がった。
そのような実績があったので、この20周年イベントに来賓として招待され、全体会で15分間の講演をすることになった。当初の予定では、蔡英文総統から表彰されるということだったが、折しも統一地方選での与党大敗の直後で蔡総統は政務に忙しく、式典では教育部の潘文忠部長からの表彰となった。
この時、全体会で講演をした筆者以外の日本側の来賓は、自民党大分県連副会長の志村学衆議院議員、千葉県の森田健作元知事だった。高名なお二人と同席し、互いに寿ぎあったことは貴重な体験だったが、やはり両位ともに20年前から地域の日台教育交流を進めてこられていたことを知った。20年前、日本各地で台湾との教育交流が軌を一にするかのように、小さな規模でスタートしていたということ、そしてその一つひとつを台湾当局が丁寧に支援していたことを、このイベントに参加して初めて認識できた。筆者もまた、20年前、台北駐大阪経済文化弁事処(総領事館に相当)の呉嘉雄処長(総領事=当時)に力強く支援してもらったことを思い出した。
すぐ近くの席に座られた森田元知事は、「私は千葉で、谷井さんは大阪で、同じころに台湾との深いご縁を得ていたんですね」と気さくに言葉をかけてくださった。また、潘教育部長が、「4年前にお会いしたときは、ゼミを立ち上げたばかりでしたね。コロナを乗り越えて、なお継続しているのですね」と手放しで喜んでくださったのも胸にしみた。
