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中国が中南米メディアの取り込みを図り、台湾に対するネガティブキャンペーンを行おうとしていることが、国家の安全保障に詳しい消息筋の話で分かった。

(台北中央社)中国が中南米メディアの取り込みを図り、台湾に対するネガティブキャンペーンを行おうとしていることが、国家の安全保障に詳しい消息筋の話で分かった。外交部(外務省)は10日、中国が他国のメディアを買収し、台湾をおとしめたり抑圧したりしようとする試みを把握しているとした上で、フェイクニュースに対しては即時説明を行う方針を示した。
消息筋は、頼清徳(らいせいとく)副総統が12日から米国経由で中華民国(台湾)と外交関係のある南米パラグアイを訪問するのを前に、中国が中国系海外メディアを通じてパラグアイの主要メディアと1カ月間の賃借契約を結んだと指摘。期間中には、中国が主張する「一つの中国」原則への支持や台湾の政治家がパラグアイの安定を損なうことへの反対、中国によるパラグアイ支援歓迎などを訴える情報の配信を企てているとした。
中米のグアテマラやニカラグアのメディアに対しても、反台湾の情報を配信させるなどし、影響の拡大を図っているとの見方を示した。
外交部は報道資料を通じ、中国は台湾の外交空間を抑圧することに全力を挙げていると強調。国内外のメディアを利益で釣って台湾の外交をけなすフェイクニュースを絶えず配信し、人々に対して認知戦を行い、頼氏の訪問妨害をたくらんでいると主張。各界に対して真相を見極め、中国側のわなに惑わされないよう呼びかけた。
また北京当局に対して、中華民国は主権が独立した国家であり、友好国との往来は国家の主権上、正常な行為であると主張。他国が口を挟むことは許さず、中国の権威主義政府の脅迫にも屈しないとけん制した。
(黄雅詩、楊昇儒/編集:齊藤啓介)