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中国政府は10日、新型コロナウイルスが拡大した2020年1月以降停止していた中国人の日本などへの団体旅行を約3年半ぶりに解禁。日本政府は急増も予想される中国人観光客の受け入れに向けた準備を始めた。解禁を受け、同日の東京株式市場では百貨店など旅行関連株に買いが急増した。
中国政府は10日、新型コロナウイルス流行を受けて停止していた日本への団体旅行を同日、約3年半ぶりに解禁したと発表した。日本のほか、韓国、ドイツ、オーストラリアなどへの団体旅行も同日解禁した。
日本政府は急増も予想される中国人観光客の受け入れに向けた準備を始めた。在中国日本大使館は、中国の旅行社からのビザ(査証)発給の申請増加が見込まれるとして、態勢強化を図る。
日本政府によると、新型コロナウイルス感染症の流行前の2019年には、中国人客がインバウンド全体の約3割を占めていた。団体旅行解禁により、中国人観光客数がコロナ前の水準に回復する可能性もあり、日本国内の観光地で期待が高まっている。
中国政府の解禁方針が伝わった10日の東京株式市場では、航空や鉄道などインバウンド関連企業の株価が上昇した。
米ブルームバーグによると、見込まれるインバウンド需要の増加で恩恵を受ける旅行関連株が幅広く上昇。特に上げが目立つ小売り関連では、百貨店のエイチ・ツー・オーリテイリングの上昇率が一時7%を超え、J.フロントリテイリングも一時6%超上昇した。
また、ドラッグストアのマツキヨココカラ&カンパニー、ディスカウントストアを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、成田・羽田空港を運営する日本空港ビルデング、鉄道のJR九州や空運の日本航空(JAL)にも買いが急増した。
日本政府観光局によると、6月の中国からの訪日客は合計20万8500人で、19年6月の水準の約24%だった。ブルームバーグはSMBC日興証券アナリスト、金森都氏のリポートとして、「中国人客の団体ビザが解禁されるなら、同証想定より早く日中間の直行便が増便され、コロナ前比での回復率を国慶節40~50%、24年の旧正月70%とみていた同証のベースシナリオを上回るだろうと予想した」と伝えた。
中国向け訪日インバウンドマーケティングを支援する株式会社ENJOY JAPANが今年3月、オンラインで実施した中国人を対象にした海外旅行に関する意識調査では、コロナ禍が落ち着いた今、訪れたい国の1位は日本で、その目的の1位は買い物だった。
中でも、購買したい商品のカテゴリー1位は化粧品・香水で、それらの商品の購買意向ブランド1位は資生堂だった。調査は18~49歳の中国在住の中国人を対象に行われ、1140人の有効回答を得た。
行きたい国(複数回答)を日本と答えたのは871人(全体の約76%)で、2位のシンガポールは469人。以下10位まではカンボジア(284人)、マレーシア(255人)、韓国(237人)、タイ(200人)、インドネシア(197人)、米国(179人)、ドイツ(134人)、オーストラリア(126人)と続いた。