注目ポイント
インドネシア政府とインドネシア銀行は、8月9日に東京都内で投資フォーラムを開催した。それはインドネシア投資調整省による、国内の持続可能な新規プロジェクトに対する日本企業からの投資と協働を呼び込むためだ。同政府が認定する9つのプロジェクトが発表され、そのなかにはスラウェシ島の虫を使って有機廃棄物を分解するマゴット事業ほか、ロンボク島の再生エネルギー事業などが含まれる。
インドネシア銀行のブディマン副総裁は、「インドネシアは7四半期連続で5%以上の経済成長を遂げました」と語り、「ゴールデンビジョン・インドネシア2045」にも触れた。同ビジョンは、インドネシアが2045年に先進国入りを果たし、さらに世界の5大経済大国入りも目指すものだ。
島の数だけ、イノベーションも起こせる?
今回紹介されたプロジェクトは、ジャワ島一極集中ではなく、インドネシアの各地域に散らばっている。つまり、1万数千の島からなるインドネシアでは、当然のことながら各地域の特性や自然も異なり、その風土にあったテクノロジー、専門性や知見が求められる。もちろん、企業だけが潤うだけでなく、地域貢献につながらなければ持続可能な事業とは言えない。
「インドネシアは水が豊富です。だから小水力発電など、日本でも展開されている技術などと相性が良いでしょうね。また、あらゆるプロジェクトについては、参加する企業だけではなく、各地域が活性化することが大切です。小水力発電の場合、住民もその恩恵を受けます。そのような事例の構築も、まだ手探りの状態なのです。だから、ひとつのモデルが成功すれば、それがロールモデルとなります。そのことで、インドネシア全土で普及しやすくなるので、インドネシア政府としても支援を惜しまないでしょう」(小野氏)
生物多様性の世界的なホットスポットであり、自然資源が豊富なインドネシアの成長こそ、これまでの工業化時代の手法と異なる持続可能なアプローチが必要だ。日本が協働することで得られることは決して少なくないはず。大企業のみならず、我はと思うスタートアップや研究機関は、AAI社に相談してみてはいかがだろう。

なお、インドネシア政府が進めるプロジェクトはこちらから確認できる。
文・撮影 小林 弘人