2023-08-10 政治・国際

成長著しいインドネシアが脱炭素社会に向けた次世代プロジェクトを公開。その日本パートナーを大募集 

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注目ポイント

インドネシア政府とインドネシア銀行は、8月9日に東京都内で投資フォーラムを開催した。それはインドネシア投資調整省による、国内の持続可能な新規プロジェクトに対する日本企業からの投資と協働を呼び込むためだ。同政府が認定する9つのプロジェクトが発表され、そのなかにはスラウェシ島の虫を使って有機廃棄物を分解するマゴット事業ほか、ロンボク島の再生エネルギー事業などが含まれる。

同フォーラムには、ヘリ・アフマディ駐日大使、インドネシア銀行のアイーダ・ブディマン副総裁を筆頭に同行の支店長らが参加し、インドネシア投資調整省のカヒョ・プロマノ氏がビデオ登壇した。プロマノ氏は海外からの投資促進部門長を務める政府高官だ。

歓迎の挨拶を行うヘリ・アフマディ駐日大使

ジャングルへの首都移転で、世界でもっとも持続可能なスマートシティを目指す

インドネシア政府は、GDPの成長率が2022年度に5.31%を記録し、七四半期連続で成長を達成した。ジョコ・ウィドド大統領は、首都をジャワ島のジャカルタからカリマンタン島東部に移転することを2019年に発表し、世界を驚かせた。わたしもそのニュースを知ったときには、「ホントに?」と耳を疑ったものだ。

カリマンタンといえば、ボルネオ島のことで、ボルネオ島といえばオランウータンの生息地として世界的にも有名だ。そんなステレオタイプ極まりない筆者の連想で申し訳ないのだが、やはり地図を見てもカリマンタンは一面ジャングルというか、緑豊かな島にしか見えない。

インドネシア投資調整省のプロマノ氏によれば、2024年に新たな首都機能をもつことになるヌサンタラ(IKN)では、再生エネルギー、脱炭素、持続可能性をテーマに開発が進められているという。すでに日本政府もインドネシアとIKN開発をめぐる技術、知識、資本における協力を表明している。

フォーラム内では、前出の小野氏が代表を務めるAAI株式会社とインドネシア銀行東京支店との間で調印も行われた。関係者曰く、インドネシア政府と日本企業による投資プロジェクトを潤滑に進めるための協働に関しての調印とのことだ。AAI社がインドネシア政府からの篤い信頼を得ているということが理解できる。

フォーラムの狙いは、インドネシア政府が日本からの投資家や開発協力を行う企業を募ることにある。アフマディ駐日大使によれば、「政府が選定した確実なプロジェクトを用意した」とのことで、その並々ならぬ熱意がうかがわれる。

アフマディ駐日大使は、インドネシア政府は海外からの投資を促進するために、2020年10月に雇用創出オムニバス法案を可決したことも強調。これは、外資規制や建築に関する環境基準や営業許認可などの大幅緩和が盛り込まれた政策のことだ。

基調講演中のインドネシア銀行 アイーダ・ブディマン副総裁

「インドネシアの経済はASEANのなかで最大の成長を遂げています。2023年度の第一四半期ではGDPは670兆ルピア(およそ5.8兆円)となり、昨年に比べて5.3%という高い成長率を記録しました。そんななか、日本からの投資額は海外からのなかの5%未満で、それも95%以上がジャワ島に集中しています。それをわたしたちは変えていきたいと思います」(アフマディ駐日大使)

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