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全米の公立学校が文化・言語プログラムを通じて中国共産党から1700万ドル(約24億3400万円)以上の資金提供を受けていることが判明し、米連邦議会は調査を開始した。専門家らは中国の真の狙いは「次世代の米国人の形成」と情報収集活動だと指摘している。
米テレビネットワーク「ニュースネイション」は今週、全米の公立学校が文化・言語プログラムを通じて中国共産党から1700万ドル(約24億3400万円)を超える資金提供を受けていることが最新の報告書によって判明し、連邦議会が調査に乗り出したと報じた。
全米の保護者らで組織する市民団体「教育を守る親の会」は、これらのクラスを「小さな赤い教室」と呼び、中国共産党が過去14年間にわたり「孔子学院」を通じて授業に資金を提供しているという。中国側は「言語と文化を教える」ことが目的だと主張しているが、同会は、本当の狙いは「中国共産党の世界的影響力の拡大だ」としている。
孔子学院とは、中国が世界各国の大学などと提携し、その地に設立した中国語や中国文化を普及させるための教育機関とされる。ただ、教育の名を借りて中国共産党の主張に基づいた宣伝活動(プロパガンダ)を拡散する目的の機関だという主張もある。
元米情報部員のマット・シューメーカー氏はニュースネイションに、習近平国家主席が「米国国民に中国の意思やイデオロギーを押し付けることを(米政府は)止められないと考えている」と説明。「これは(中国に)協力的な教師たちが将来、誰が都合の良い立候補者となり得るのか、あるいは誰が自分たちの理念に共感してくれそうなのかを見極め、次世代の米国人を形成する機会になる」と分析した。
報告書によると、孔子学院のプログラムは全米50州中34州の約143学区で実施されていた。これらのプログラムは米国の議員らにとって長年、深刻な懸念事項となっていた。トランプ前大統領政権下で国務省は、孔子学院を教育機関ではなく、〝海外使節団〟と認定していた。
シューメーカー氏によると、こうしたプログラムの多くは近年次々と閉鎖されているものの、幼稚園から高校に至るまで、教育現場への介入は中国共産党の新たな戦術だと指摘した。
同氏は、「その後、中国側は議論の内容を変え、特に小学校を標的にし始めた」とした上で、「中国人たちは自分たちのやっていることに精通している。彼らは教育現場を利用して、次世代の米国人を形成しようとしている」と警告した。
ニュースネイションによると、シューメーカー氏が最も懸念するのは国家安全保障への脅威であり、実際に中国共産党から資金提供を受けている学区のうち、20校が米軍基地の近くに位置しているという。
「中国側は、誰の親がこれらの軍事基地で働いているかを把握して評価し、これらの施設から情報を入手するための工作活動の準備をしている」と続けた。