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クアンタ・コンピュータ(Quanta Computer、広達電脳、以下クアンタ)の林百里創業者兼会長は「AI (人工知能)がもたらす革命的な人間とコンピュータの相互作用モデルが、人間の従来の学習方法を完全に変え、知識システムの確立と出力を解放し、人間社会の生産性を解放すると確信している。今後 10 年間の技術進歩は過去 100 年間の進歩を超えるだろう」と述べた。
「10年後の技術進歩、過去100年超える」
クアンタは、2015 年以降、従来のノートパソコン受託生産からクラウドサーバー製造への転換を図り、GPU (グラフィックス プロセッシング ユニット:画像を描写するために必要な計算を処理する装置)の巨頭である NVIDIAの OEMを開始した。現在では生成AI(Generative AI)のトレンドに乗り、林会長は台湾を代表する大富豪となった。
林会長が台湾富豪ランキング第1位に
AI産業の発展によりクアンタ は急速に市場を拡大し、時価総額は1兆台湾ドル(約4兆5200億円)を超えている。林会長の純資産も現在114 億ドル (約1兆6,313億円) に達し、靴メーカー宏福実業の創設者である張聰淵氏、EMS最大手、鴻海の創設者である郭台銘氏を抜いて、台湾の富豪ランキング第1位になった。
1988 年に設立されたクアンタ は、ノートパソコンの研究開発、設計、製造を専門に行ってきた。 近年はクラウドコンピューティング、企業向けネットワークソリューション、モバイル通信、スマートホーム製品、カーエレクトロニクス、スマート医療、AIoT分野にも進出している。
クアンタ の生産、サービス拠点はアジア、北米、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、東南アジアに広がり、情報、通信、家電、クラウドコンピューティングの分野で製品を生産している。
クアンタは「台湾デザイン、スマートマニュファクチャリング、グローバルな物流と販売」をグローバル戦略の主軸としており、台湾を始め、上海、重慶、タイ、メキシコに高効率の生産拠点を設立しているという。7月25日にはベトナムの子会社QMH COMPUTERが新たな工場「QMH F1」を建設すると発表した。 現地地方自治体との「コンピュータ生産計画協定」の締結により、AppleのMacBookの受注・組立も支援されることになる。
林百里会長「今後10年間の技術進歩は過去100年間の進歩を超えるだろう」
台湾金融培訓協会(Taiwan Financial Training Association) の林昌興会長によると、クアンタは2015 年以降、従来のノートパソコン受託生産からクラウドサーバー製造への転換を図り、2016 年から米国の半導体メーカー NVIDIA のサーバー及びマザーボードの製造を開始した。サーバー製造の利益はノートパソコンとは異なるという。
クアンタによれば、2022年には世界のノートパソコン市場が前年に比べて大幅に縮小し、クアンタのノーパソコン出荷台数も減少する見込みだが、平均出荷単価は上昇し、クラウドサーバー関連の需要が高まることが予想されるという。昨年の連結売上高の純利益は、前年の1兆1300億台湾ドル(約5兆1076億円)から13.47%増加し、過去最高となる1兆2800億台湾ドル(約5兆7856億円)を記録した。