注目ポイント
台湾南部最大の都市といえば港町・高雄。亜熱帯の台北とは違って、こちらはモロに熱帯に位置し、果実あふれる宝島を象徴するかのように、この時期市場にはバナナやマンゴー、ライチといった多彩なトロピカルフルーツが並ぶ。さすがに「果実の王様」とされるドリアンはタイ産が主流かと思いきや、最近は気候変動のせいか高雄や、隣接の屏東でも栽培に成功しているそうだ。そんな動きを先取りしてか、具材にドリアンを使用したラーメンを出す店が高雄市内にあると聞き、突撃グルメリポートを敢行してみた。
日本円にして約3050~3500円。同店のベーシックな「博多豚骨拉麵(とんこつラーメン)」が(250元=1120円)だから、かなりの高級メニューだといえる。

「おお、これやがな!」
と心の中で叫びつつ、せっかくはるばるとやってきたのだし、「ラハも北山、底でも入れよか(お腹もすいたことだし、しっかり食べようか)」(出典・七度狐)と、ナゾの呪文をとなえつつ、大枚780元(約3500円)をはたいて「榴蓮皮蛋叉焼激増拉麵」(ドリアンピータンチャーシューマシマシラーメン)に挑戦してみることにした。
オーダーシート(表)にチェックを入れて差し出すと、店員さんは「ドリアン系メニューは少しお時間がかかりますがよろしいですか?」と返してきた。もちろんこちらに異論はない。だが30分も待たされるのかと思いきや、15分ほどで運ばれてきたのだから御の字だ。
口の中のトロピカルカーニバル!
さてさて、立ち上る湯気ととも運ばれてきたお盆。上にはドリアン果肉をくり抜いたトゲトゲの皮半分をそのままラーメン鉢にセットし、迫力満点のビジュアルが「どや!」といわんばかりにドッカリあぐらをかいている。あふれる具材は麺の上に乗りきらないのか、ピータンやキクラゲなどは小鉢で別添だ。
気温37度の炎天下、汗をかきかき来店した客にはうれしいレモネードの冷水ポットも提供され、攻略の準備は万端整ったが、そのSNS映えする外見には、お隣の席のご夫婦までもが、「それ、写真に撮ってもいいですか?」と聞いてきたほど。店内の視線を浴びまくりだ。

どうぞ!どうぞ!ナンボでも撮ってチョンマゲ!
自分でも写真や動画を撮りまくったあげく、ようやく箸を手にしてチャーシューを食み、ピータンや煮タマゴ、キクラゲをかじり、満を持して白くボテッと横たわるドリアンにもかぶりついてみた。
「おおう!ダイナマイト!」
予想通りの「タマネギ練り込み生クリーム風味」。濃厚で甘いが、しょっぱいピータンやチャーシューの間に食べてもさほどの違和感はない。例えるなら酢豚にパイナップルをあしらったような感じというべきか。
それにしても具材が大量過ぎて麺がなかなか見えない。
食べ進み、ようやく麺が見えたところで、店員さんは別のラーメン鉢にアツアツのスープを満たして運んできてくれた。スープはつけ麺風に使ってもよし、ドリアンの皮鉢の中に流し込んでもよし。麺と一緒にズズっとすすると、これまたどこかフルーティで爽やかな風味が鼻腔に広がってきた。口の中がまるでトロピカルカーニバルや~!
